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中村 浩美  NAKAMURA,Hiromi       Last updated '18.1.29

●プロフィール
Photo by Paco Kazu Takahashi

 科学ジャーナリスト、航空評論家、キャスター、トーク・コーディネーター
 1946年2月8日、札幌市生まれ。同志社大学法学部法律学科(国際法/宇宙法)卒。月刊「航空ジャーナル」編集長を経て、1984年に航空評論家、科学ジャーナリスト、TVキャスターとして独立、現在に至る。航空、宇宙開発、先端技術、エネルギー、地球環境、メディア、国際関係、交通、旅行文化など幅広いジャンルで、執筆、講演、テレビ番組のキャスター、コメンテイター、各種イベントやシンポジウムのコーディネーターとして活動中。
 東京工業大学統合研究院特任教授、東海大学総合科学技術研究所特別研究員、国の宇宙開発委員会専門委員、原子力委員会専門委員、国土地理院研究評価委員、日本原子力研究開発機構研究評価委員なども歴任。また、宇宙や地球の話を
、子供たちや親子に直接語りかける「親子で学ぶサイエンススクール」(http://www.kamijo.co.jp/school)を全国で開催するなど、宇宙計画への理解増進や、科学知識の普及啓蒙に積極的に取り組んでいる。
 また当協会の専務理事を長く務めたほか、NPOエンジョイ・エコ・ラボラトリー理事長、NPO羽田航空宇宙科学館推進会議理事長としても活動している。
 趣味は、博物学研究、ルネサンス研究、パリのパサージュ散策、読書、映画、ドライブ、スポーツ観戦。
[連絡先]〒279‐0013 千葉県浦安市日の出1丁目3-4‐808 TEL:047(352)5895 fax:047(380)1490
E‐mail:husky46@jcom.home.ne.jp


◆おもな著書

『飛行機をめぐる冒険』(ポプラ社)、『 FLIGHT DECK OPERATIONS 空母キティホークと飛行甲板要員たち』(共著・アスキー・メディアワークス)、『YS-11世界を翔けた日本の翼』(祥伝社新書)、『YS-11 栄光の翼』(アサヒDVDブック)、『読んで愉しい旅客機の旅』(光文社新書)、『旅客機大全』(新潮文庫)、『最新 宇宙開発がよくわかる本』(中経出版)、『ブライトリング・ファイターズ』(共著・ぶんか社)、『飛行機王国アメリカ探訪』(NTT出版)、『ブラックホールは宇宙を滅ぼすか?』(翻訳・東海大学出版会)、『火星雑学ノート』(ダイヤモンド社)、『旅客機雑学ノート』(ダイヤモンド社)、『あした宇宙へ』(廣済堂出版)、『衛星情報が世界を変えた』(共著・徳間書店)、『空飛ぶ巨大技術ジャンボ』(講談社現代新書)、『ザ・チャレンジャー』(航空ジャーナル社)、『スペースシャトル』(グラフ社)、『ハレー彗星を探る!』(航空ジャーナル社)他

PORTRAIT

<最近の活動>
<2017年 JUL.~DEC.>
WRITING
『BREITLING DC-3 JAPAN TOUR:日本の空を翔けたブライトリングDC-3 (Part1)』

 僕が理事長を務めているNPO・HASM(羽田航空宇宙博物館推進会議)の会報「羽田の青い空」(第85号)に、ブライトリングDC-3のジャパンツアー同行記『日本の空を翔けたブライトリングDC-3』を執筆。2回連載のこれが1回目。ジャパンツアーは、ブライトリングDC-3のWORLD TOUR(世界一周飛行)の一環だ。Part1では、3月9日のジュネーブ出発から、中東、アジアへの飛行、そして4月29日~5月1日の熊本訪問イベント、5月19~20日に行なわれた神戸訪問イベントまでをリポートしている。ジャパンツアーの公式訪問地は、熊本、神戸、福島で、いずれも震災の被災地だ。被災地の皆さんが空を見上げ、ブライトリングDC-3を見上げることで、明日への勇気、未来への希望を養ってもらおうというのが、ジャパンツアーのコンセプト。ジャパンツアーは「みんなで大空を見上げよう!」プロジェクトと名付けられた。
『日本の空を翔けたブライトリングDC-3 Part1』全12頁の一部

 INTERVIEW & COMENT
 「昭和40年男」というユニークな雑誌がある(隔月刊、株式会社クレタパブリッシング発行)。1965年に生まれた男性が、興味を持っていたこと、生きてきた時代の出来事などを、回顧したり検証したりするのがコンセプトの雑誌だ。その「昭和40年男」が11歳だった昭和51年の出来事の中で、コンコルドの定期就航を再検証したいということで、インタビューを受けた。超音速旅客機・コンコルドの航空史上での位置づけ、その栄光と挫折について語った。コンコルド再検証は、10月号に全4頁で掲載された。
       雑誌「昭和40年男」10月号表紙  インタビューでその光と影を語った、「コンコルド」再検証の一部
 北海道放送(HBC)から受けたインタビューのテーマは、民間航空業界のパイロット不足。パイロットが不足して運航乗務員繰りが難しく、計画運休に追い込まれたエアドゥ(AIR DO)の課題と、日本、そして世界のパイロット不足(整備士も不足)の現状と見通しについて解説した(11月28日オンエア)。その他メディアへのコメントとしては、JALのB777が左エンジン停止で緊急着陸した件で、共同通信にコメント(9月5日)。KLMのB777から機体のパネルの一部が飛行中に落下し、地上の自動車を直撃した事件について、日刊現代にコメント。機体部品の落下事故の現状と、その背景について解説した(9月27日掲載)。


EVENT
「第2回 私の羽田アルバム展」

  HASM「第2回 私の羽田アルバム展」  故・齋藤茂太先生のエアラインバッグ・コレクションも展示
 NPO・HASM(羽田航空宇宙博物館推進会議=羽田航空博物館プロジェクト)の写真展『私の羽田アルバム展』が、7月23~29日に有楽町駅前の東京交通会館シルバーサロンBで開催された。昨年に続く2回目の今年からは、時代区分のテーマで展示することになり、スタートの今回は「航空再開からジェット時代到来」(1951年~1969年)がテーマ。この時代の羽田空港の風景と、飛行機と空の旅人の写真を展示。HASM会員秘蔵の写真に加えて、会員外の貴重な写真も展示することができた。HASMが遺品をお預かりしている、故・齋藤茂太先生のエアラインバッグ・コレクションの一部も展示され、写真展に花を添えた。

「河口湖飛行舘」
 毎年8月にだけ公開される「河口湖飛行舘」(原田信雄館長)を、今年も訪れた(8月11日)。今年のハイライトは、胴体と翼が組みあがった一式戦闘機「隼」だ。エンジンは搭載されたが、脚は未装着とはいえ、飛行機らしい姿になって、展示スペースの正面中央に展示されていた。これに伴って、従来2機が並んで展示されていた零戦の位置が変わった。零式艦上戦闘機21型と52型は、この博物館の至宝だ。3機目の零戦(21型)も現在復元作業中。一式陸上攻撃機22型の復元作業も、少しずつ進んでいるようだ。来年夏の公開までに、展示がどのように進化するかが楽しみだ。
組立てが終わった「隼」を背景に 「河口湖飛行舘」の宝は「零戦52型」と「零戦21型」

「松戸迷才会作品展」
 老舗のモデラークラブ「松戸迷才会」の作品展訪問(於・松戸小金市民センター、11月12日)。40年以上の付き合いになる渡邉登さんから、「是非中村さんにみてほしい!」とお誘いがあったもの。ナベちゃんは、今やプロのモデラーとして声望が高い模型界の匠だ。今回のナベちゃんの新作はRED BARON 2機。RB-51とRB-104だ。レッド・バロンは、僕の1970年代の活動を象徴する存在。オーナーのエド・ブラウニング氏をはじめ、クルーやファミリーとの親しい交友は、今も僕の記憶の中で鮮明だ。RB-51はP-51ムスタング改造のレーサー。リノ・エアレースのチャンピオンであり、スティーブ・ヒントン氏(現在チノのプレーンズ・オブ・フェイム博物館館長)の操縦で、世界速度記録も樹立した。世界記録を樹立した「スピード・ラン」に、僕は唯一の日本人として立ち会った。RB-104はF-104スターファイターを復元改造した記録機で、世界速度記録を樹立、世界高度記録にも挑戦した。そんなRB-51とRB-104のモデルを、ナベちゃんが製作したのだ。そこで僕にお誘いがあった次第。さすがはモデラー界の巨匠、見事な出来栄えだった。形状も独特の塗装の再現も、見事なものだ。往時の雄姿が甦る。しかも凝り性の巨匠のこと、2機とも可動式なのだ!航空イラスト界の巨匠、下田信夫画伯と3人で、レッド・バロンの昔話に花が咲いた。
渡邉登氏製作の傑作、RB-51とRB-104   モデルを手に下田信夫画伯、渡邉登氏と共に

「羽田空港・空の日フェスティバル 2017」
 9月23日、「羽田空港・空の日フェスティバル2017」に、NPO・HASMとして参加。第1ターミナル2階のフェスティバルコートで、「電動ヒコーキ操縦体験会」を実施した。昨年に続く開催だ。12:30~16:00の間に、100組を超える親子が、電動ヒコーキの操縦体験を楽しんでくれた。参加者には、理事長である僕のサインが入った認定証を授与した。この電動ヒコーキは、電気でプロペラを回し、テザー付きの機体をUコンと似た操作でフライトさせるもので、ドイツでの例を参考にHASMで開発したもの。各地のイベントなどへ出前出張し実施している。
キッズ・パイロットによる電動ヒコーキ操縦体験 イベントを終え、HASMスタッフで集合写真

『僕の交書録』<BOOKS MY BEST  2017 JUL.~DEC.>
 
7月~12月期の読書は、新刊購入が53冊、贈呈いただいたのが1冊、蔵書の再読が3冊の計57冊。年間では、新刊が97冊、贈呈が9冊、再読が5冊で合計111冊の読書歴。読書100冊、映画100本は、年間の大目標だが、2017年はこれを達成できた。今期57冊のうちで、特に印象に残ったMY BESTが以下の27作品35冊(順番は読んだ順)。
 今期の交書録では、ノンフィクションが充実していた。塩野七生さんの『ギリシア人の物語』が第3巻で完結。ローマ人に比べて劇的要素が希薄な印象のギリシア人の「物語」だったが、最終巻『新しき力』の主人公はアレキサンダー大王。これで盛り上がった。チェーザレ・ボルジア、カエサル、皇帝フリードリッヒ二世、そしてアレクサンドロスと、塩野さんが入れ込んだ「男の物語」の筆致には迫力がある。『ルネサンスの女たち』で塩野さんがデビューしたのは1969年(初出は1968年の「中央公論」)。『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』『神の代理人』が続いた。それからずっと塩野作品を読んできた。ファンレターを書いたこともある(「中央公論」の読者欄に載ったことも)。長く親しんできた塩野流「歴史エッセイ」だけれど、この『ギリシア人の物語』3巻で終了するという。ルネサンス時代に始まって、中世、そして紀元前の古代ギリシア、紀元前・紀元後の古代ローマと、広範な時代をカバーする「歴史エッセイ」群だった。歴史学者からはとかく批判があるかも知れないが、ヨーロッパ史に目を向けさせてくれた功績は偉大だ。来年からは、書架にずらりと並ぶ塩野作品を再読するとしよう。ヴェネツィア一千年史の『海の都の物語』あたりから再読してみようか。
 映画化もされた『ドリーム』は、隠れた歴史を掘り起こしたドキュメント。アメリカの宇宙計画を支えた、名もなき黒人女性の計算手たちに光を当てた秀作だ。彼女たちはいずれも数学の天才だった。映画で描かれたのは、彼女たちの貢献のごく一部でしかない。『歴史の証人 ホテル・リッツ』には、有名人が綺羅星のごとく登場しドラマを演じる。場には魔力があることを痛感。渡辺京二先生の『バテレンの世紀』は、日本にやって来た宣教師たちと日本との濃密な交わりの物語。これこそがヨーロッパと日本との、ファースト・コンタクトで、黒船来航以降の維新革命は、セカンド・コンタクトだった。渡辺史観に蒙を啓かれた愛読者としては、『逝きし世の面影』『黒船前夜』に、この『バテレンの世紀』を加えて、渡辺先生の三大作品と呼びたい。謎解きのような学術研究を楽しんだのが、『ダ・ヴィンチ絵画の謎』と『兼好法師』。モナリザのモデルの確定、知られざる兼好法師の生涯。新鮮な驚きだった。モナリザのモデルは意外な女性だが、説得力がある。兼好法師の吉田姓は、後世の捏造だった!『徒然草』を書いた吉田兼好という人物は存在しなかったのだ。今後は教科書の記述も変わるかも知れない。
<NON FICTION>
『ダ・ヴィンチ絵画の謎』           齋藤泰弘               (中公新書)
『歴史の証人 ホテル・リッツ 生と死、そして裏切り』テイラー・J・マッツェオ   (東京創元社)
『イートン校の2羽のフクロウ』        ジョナサン・フランクリン    (エクスナレッジ)
『ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち』 マーゴット・リー・シェタリー  (ハーパーBOOKS)
『バテレンの世紀』              渡辺京二                (新潮社)
『ギリシア人の物語 Ⅲ 新しき力』      塩野七生                (新潮社)
『兼好法師 徒然草に記されなかった真実』    小川剛生               (中公新書)
<FICTION>
『フロスト始末 (上)(下)』         R・D・ウィングフィールド    (創元推理文庫)
『階段を下りる女』              ベルンハルト・シュリンク(新潮クレスト・ブックス)
『黙 約 (上)(下)』            ドナ・タート            (新潮文庫)
『書架の探偵』                ジョン・ウルフ   (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
『シンパサイザー』              ヴィエト・タン・ウェン (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『ザ・カルテル (上)(下)』         ドン・ウィンズロウ         (角川文庫)
『その犬の歩むところ』            ボストン・テラン          (文春文庫)
『死者の雨 (上)(下)』           ベルナール・ミニエ      (ハーパーBOOKS)
『東の果て、夜へ』               ビル・ビバリー     (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『氷 結 (上)(下)』             ベルナール・ミニエ        (ハーパーBOOKS)
『顔のない男』                ステファン・アーンヘム      (ハーパーBOOKS)
『罪責の神々 (上)(下)』           マイクル・コナリー         (講談社文庫)
『九つ目の墓』                ステファン・アーンヘム      (ハーパーBOOKS)
『たゆたえども沈まず』            原田マハ                (幻冬舎)
『永遠に残るは (上)(下)』         ジェフリー・アーチャー        (新潮文庫)
『人形は指をさす』              ダニエル・コール          (集英社文庫)
『湖の男』                  アーナルデュル・インドリダソン  (東京創元社)
『ボックス21』    アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『嘘の木』                  フランシス・ハーディング      (東京創元社)
『ミレニアム 5 復讐の炎を吐く女 (上)(下)』 ダヴィド・ラーゲルクランツ    (早川書房)
 フィクションの今期MY BEST、まずは文芸作品。ドイツのベストセラー作家シュリンクの『階段を下りる女』は、ミステリの要素もある恋愛小説、魂の再生の物語。階段を下りる女というタイトルの絵画をめぐって、ストーリーは展開する。絵画をめぐる物語といえば、わが国では原田マハさん。新作『たゆたえども沈まず』は、ゴッホと弟のテオとある日本人との物語。ゴーギャンも出てきます。今年は『リーチ先生』『サロメ』『アノニム』そして『たゆたえども沈まず』と、ファンとしては嬉しい1年でした。『いちまいの絵』という絵画ガイドもありました。『嘘の木』は英国のファンタジー作家ハーディングの、精緻なミステリであり秀逸なファンタジー。輝かしい受賞歴を持つ、児童文学の傑作と評価されているが、宮部みゆきさんは「児童文学の枠に収まりきらない傑作であって、個人的には今年のベスト1だった」と評している。
ジェフリー・アーチャーの『クリフトン年代記』が、ついに第7部『永遠に残るは』で完結した。年代記、大河小説は、アーチャー、ケン・フォレット、ロバート・ゴダードなど、やはり英国作家の筆力がすごい。『クリフトン年代記』は、最後の2部は少々冗長だったけれど。
 ミステリにも秀作が多かった。『フロスト始末』は、ワーカホリックで下品なジョークを連発する、ユニークなフロスト警部の最終巻。全くのマイペースで、捜査を混乱させながらもなぜか難事件を解決してしまう名物警部とも、これでお別れだ。作者のウィングフィールドが、2007年に死去してしまったのでこれが遺作になった。1994年の『クリスマスのフロスト』翻訳出版から6作品(他に短編集1冊)、楽しませてもらった。ウィングフィールドは英国作家だが、ここ数年ヨーロッパのミステリが快調だ。英国では他にイアン・ランキンがいるし、デボラ・クロンビーもフィリップ・カーもミック・ヘロンもダニエル・コールもいる。フランスのミニエ、ピエール・ルメートル、ドイツのネレ・ノイハウス、ハラルト・ギルバースもいい。特に北欧ミステリは秀作連発だ。今期だけでも、アーンヘム、ルースルンド&ヘルストレム、ラーゲルクランツはスウェーデン、インドリダソンはアイスランド。他にもデンマークのローネ・タイルス、トーマス・リュダール、ミケール・カッツ・クレフェルト、ノルウェーのジョー・ネスボ、アイスランドのラグナル・ヨナソン、スウェーデンのカミラ・レックベリ、トーヴェ・アルステルダールなどの作品を今年は楽しんだ。北欧ミステリブームの火付け役は、何と言ってもスウェーデンの『ミレニアム』だろう。三部作の作者スティーグ・ラーソンは、世界的な成功を見ることなく2004年に50歳で急逝した。その続編を引き継いだのがダヴィド・ラーゲルクランツで、第4巻の『蜘蛛の巣を払う女』に続く第5巻が『復讐の炎を吐く女』。オリジナルの雰囲気を上手に継承しているし、続編独特の魅力もある。
 アメリカン・ミステリにも秀作が少なくなかったが、特筆すべきは『その犬の歩むところ』だろう。ボストン・テランはハードボイルドのイメージの作家だが(素性が秘密の覆面作家でもある)、この作品には抒情があるし、何より犬への愛情が溢れていて、犬好きには落涙ものの逸品だ。『書架の探偵』はユニークなSFミステリ。『シンパサイザー』『東の果て、夜へ』も印象的だったし、マイクル・コナリーは鉄板。
 年末にスー・グラフトンの訃報が届いた。『アリバイのA』に始まるアルファベットのついたシリーズ・ミステリで知られる。僕は『ロマンスのR』まで読んでいる。『Y is for Yesterday』まで書かれているという。ヒロインのキンジー・ミルホーンは、サラ・パレツキーのV・I・ウォーショースキーと並ぶ、クールな女流私立探偵キャラクターだ。

『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2017 JUL.~DEC.>

 7月~12月の半年間の映画鑑賞歴は、超ハイペースで66本。2017年の映画鑑賞は合計で110本に達した。3日に一度は劇場か試写室に足を運んだことになる。年間100本越えは久々だ。この半年は秀作、佳作が多く、観まくった感じで、MY BESTは以下の39本と多い(順番は鑑賞順)。
『しあわせな人生の選択』      (TRUMAN)                 セクス・ゲイ監督
『歓びのトスカーナ』        (La Pazza gioia)          パオロ・ヴィルズィ監督
『ビニー/信じる男』        (BLEED FOR THIS)            ベン・ヤンガー監督
『甘き人生』            (Fai bei sogni)           マルコ・ベロッキオ監督
『トランスフォーマー 最後の騎士王』(Transformers: The Last Knight)    マイケル・ベイ監督
『スターシップ9』         (ORBITA 9)             アテム・クライチェ監督
『ベイビー・ドライバー』      (Baby Driver)             エドガー・ライト監督
『ロスト・イン・パリ』       (Paris Pieds Nus)ドミニク・アベル&フィオナ・ゴードン監督
『ブランカとギター弾き』      (BLANKA)                 長谷井宏紀 監督
『エル ELLE』           (ELLE)            ポール・ヴァーホーヴェン監督
『パターソン』           (PATERSON)            ジム・ジャームッシュ監督
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(A STREET CAT NAMED BOB) ロジャー・スポティスウッド監督
『あしたは最高のはじまり』     (Demain Tout Commence)        ユーゴ・ジェラン監督
『ダンケルク』           (DUNKIRK)           クリストファー・ノーラン監督
『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』(The Zookeeper’s Wife)   ニキ・カーロ監督
『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』(DANCER)    スティーヴン・カンター監督
『汚れたダイヤモンド』       (Diamant noir)           アルチュール・アラリ監督
『50年後のボクたちは』       (tschick)               ファティ・アキン監督
『スクランブル』          (OVERDRIVE)             アントニオ・ネグレ監督
『プラネタリウム』         (Planetarium)          レベッカ・ズロトヴスキ監督
『僕のワンダフル・ライフ』     (A Dog’s Purpose)         ラッセ・ハルストレム監督
『ドリーム』            (HIDDEN FIGURES)           セオドア・メルフィ監督
『女神の見えざる手』        (Miss Sloane)             ジョン・マッデン監督
『アトミック・ブロンド』     (ATOMIC BLONDE)           デヴィッド・リーチ監督
『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』(NELLY)                 アンヌ・エモン監督
『ブレードランナー2049』      (Blade Runner 2049)        ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
『ネルーダ』            (NERUDA)                パブロ・ラライン監督
『エンドレス・ポエトリー』    (ENDLESS POETRY)      アレハンドロ・ポドロフスキー監督
『ローガン・ラッキー』      (Logan Lucky)         スティーヴン・ソダーバーグ監督
『永遠のジャンゴ』        (DJANGO)              エチエンヌ・コマール監督
『ギフテッド』          (gifted)  マーク・ウェブ監督
『パーティで女の子に話しかけるには』(HOW TO TALK TO GIRLS AT PARTIES)
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督
『猫が教えてくれたこと』     (Kedi)                 ジェイダ・トルン監督
『否定と肯定』          (DENIAL)               ミック・ジャクソン監督
『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』(STAR WARS EpisodeⅧ:The Last Jedi)
ライアン・ジョンソン監督
『はじまりのボーイミーツガール』 (LE CŒUR EN BRAILLE)        ミシェル・ブジュナー監督
『希望のかなた』         (THE OTHER SIDE OF HOPE)       アキ・カウリスマキ監督
『ダンシング・ベートーヴェン』  (dancing Beethoven)         アランチャ・アギーレ監督
『J:ビヨンド・フラメンコ』    (JOTA de Saura)             カルロス・サウラ監督
 ナンバーワンは、やはり『ドリーム』。NASAの有人宇宙飛行プログラムを陰で支えた、数学の天才の黒人女性たちの実話。60年代の人種差別や性差別を乗り越えた、ヒロインたちに乾杯。実話や実在の人物を描いた作品には、やはり力がある。『ドリーム』『ビニー/信じる男』『ボブという名の猫』『ユダヤ人を救った動物園』『ネリー・アルカン』『ネルーダ』『永遠のジャンゴ』『否定と肯定』、いずれも実話に基づく映画だ。戦争映画はあまり好きなほうではないけれど、『ダンケルク』は良かった。さすがはクリストファー・ノーラン監督だ。
心に沁みた作品は、『しあわせな人生の選択』『歓びのトスカーナ』『甘き人生』『パターソン』『あしたは最高のはじまり』『50年後のボクたちは』『エンドレス・ポエトリー』『ギフテッド』『はじまりのボーイミーツガール』『希望のかなた』など。人生とか、死とか、青春とか、さらには時代とか世界とかを考えさせてくれた。長谷井宏紀監督がフィリピンを舞台に撮った『ブランカとギター弾き』も良かった。これはヴェネツィア国際映画祭で、2冠に輝いた作品だ。『エル ELLE』『プラネタリウム』『女神の見えざる手』
は、イザベル・ユベール、ナタリー・ポートマン、ジェシカ・チャステインという女優の魅力が輝く、いわゆる「女優で観る映画」の代表。
犬好きとしては、『僕のワンダフル・ライフ』に泣き笑い。猫好きには『ボブという名の猫』や『猫が教えてくれたこと』(これはイスタンブールに暮らす猫のドキュメンタリー)がたまらないだろうが、犬好きも魅かれた。映画ファンとしては『人生はシネマティック!』も忘れがたい。SF系では、何と言っても『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』と『ブレードランナー2049』。文句なしに封切り日に映画館へ駆けつけた。そして大満足。『スター・ウォーズ』の第1作『新たなる希望』を観たのは1978年1月8日、ロサンゼルスだった。あれから40年。続編もスピンオフ作品も楽しみだ。『スターシップ9』は、珍しいスペイン製SF映画。故障したスターシップ(正しくはオービター)で出会った男と女の物語だが、SFならではの仕掛けが秘められている。個人的には、かなり気に入った作品だ。『パーティで女の子に話しかけるには』も、題名からは想像できないけれどSFなのだ。音楽とファッションも良い。ラストのオチも気に入った。BESTには挙げなかったけれど『ライフ』(ダニエル・エスピノーサ監督)も面白かった。
アクション、エンタメ系にも、今期は佳作が多かった。『トランスフォーマー』『ベイビー・ドライバー』『スクランブル』『アトミック・ブロンド』『ローガン・ラッキー』、フランスノワールの『汚れたダイヤモンド』、それぞれ大いに楽しめた。『ワンダーウーマン』(パティ・ジェンキンス監督)『ジャスティス・リーグ』(ザック・スナイダー監督)も爽快に楽しかった。僕が好きなジャンルの一つ、ミュージック・ダンス系では、『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』『永遠のジャンゴ』『ダンシング・ベートーヴェン』『J:ビヨンド・フラメンコ』が良かった。『ポリーナ、私を踊る』(ヴァレリー・ミューラー&アンジュラン・プレルジョカージュ監督)も印象に残った。
今期で特記すべきは、神保町シアターの連続上映「よみがえる赤木圭一郎」を観たこと。『拳銃無頼帖』シリーズなど5作品を観た。リアルタイムで観た時代、日活映画に嵌っていた中学・高校生の時代に、タイムスリップした心境。『紅の拳銃』はやはり名作で、赤木の代表作だと再確認。

<2017年 APR.~JUN.>
COVERAGE & EVENT
「BREITLING DC-3 JAPAN TOUR」
ブライトリングDC-3ワールドツアーのエンブレム 熊本空港に着陸するブライトリングDC-3
JAPAN TOUR in KUMAMOTO
JAPAN TOUR in KOBE
Mt. FUJI : Air to Air Photography
JAPAN TOUR in FUKUSHIMA
 RED BULL AIR RACE in CHIBA
JAPAN TOUR LAST DAY in OBIHIRO
 
★「RED BULL AIR RACE 2017 CHIBA」
  
   ★「木曽川の水力発電所」視察      

COMENTS to media
 5月15日に北海道で発生した、陸上自衛隊のLR2連絡偵察機が、函館空港の西約30㎞でレーダーから機影が消え、後に山中で墜落しているのが発見された事故。この事故に関して、15日に北海道新聞にコメント、16日に北海道放送(HBC)のインタビューを受け収録、北海道新聞に再コメント。同機はフライトレコーダを搭載しておらず、ボイスレコーダは発見されたが公表されず、事故原因は不明のまま。毎日新聞には5月30日、6月12日に追跡取材のコメントも求められた。悪天候とパイロットの判断ミスが引き金と考えられるが、事故原因究明のシナリオは推測の域を出ない。

『僕の交書録』<BOOKS MY BEST  2017 APR.~JUN.>
 2017年4月~6月期の読書歴は、購入したのが24冊、贈呈いただいたのが3冊で計27冊。蔵書の再読はなかった。出張が多く腰を据えて読書する時間が少なかった割には、一応の読書量だった。ただし今期はフィクションのみで、しかもミステリがほとんどだ。その中で今期のMY BESTは、以下の12作品17冊(順番は読んだ順)。多作で歴史ミステリが得意なゴダードだが、年代記風の三部作というのは初めて。また珍しく冒険活劇風でもある。三部作の③は日本が舞台だ。これが2作目のフォックスや、ランクインはしなかったが楽しめた北欧やフランスの新しい作家との出会いも良いけれど、おなじみの作家の新作が出るとやはり嬉しい。ハンター、グルーバー、ランキン、コナリー、クレイスがそういう作家たちで、安心して読めるし期待を裏切らなかった。特にランキンのリーバス警部の復活が嬉しい。フィリップ・カーは再発見。饒舌な私立探偵グンター(元ベルリン警察刑事)シリーズの、旧作を探すことになりそうだ。ナサニエル・ウエストの代表作『イナゴの日』を読んだのは、1970年以来のことだ。当時は板倉章氏の訳で角川文庫だった。今回は柴田元幸氏の新訳。唯一の日本の作家は原田マハさん。『アノニム』は得意のアート界が舞台だが、新境地を拓いた一作と言えるだろう。シリーズになるというのも、ファンには嬉しい。三省堂書店神保町本店で6月26日に開かれた、「原田マハさんトーク&サイン会」にまで行ってしまった。サイン会に行ったのは、25年以上も前の小林信彦さん以来のことだ。『アノニム』執筆の裏話や、近代アートの話が面白かった。ご本人に会って、改めてファンになった。
『Gマン』  (上・下)                   スティーヴン・ハンター      (扶桑社ミステリー)
『刺青の殺人者』                       アンドレアス・グルーバー       (創元推理文庫)
『謀略の都 1919年三部作①』(上・下)            ロバート・ゴダード           (講談社文庫)
『灰色の密命 1919年三部作②』(上・下)           ロバート・ゴダード           (講談社文庫)
『宿命の地 1919年三部作③』(上・下)            ロバート・ゴダード           (講談社文庫)
『いなごの日/クール・ミリオン ナサニエル・ウエスト傑作選』 ナサニエル・ウエスト           (新潮文庫)
『楽 園 (シドニー州都警察殺人捜査課)』          キャンディス・フォックス       (創元推理文庫)
『寝た犬を起こすな』                     イアン・ランキン        (ハヤカワ・ミステリ)
『ブラックボックス』 (上・下)               マイクル・コナリー          (講談社文庫)
『約 束』                          ロバート・クレイス         (創元推理文庫)
『アノニム』                         原田マハ                (角川書店)
『死者は語らずとも』                      フィリップ・カー           (PHP文芸文庫)


『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2017 JAN.~MAR.
 4月~6月3か月間の映画鑑賞歴は、劇場で20本、試写で1本の計21本。国内出張が続いたわりには、よく観たほうだろう。今期のMY BEST CINEMASは、以下の14本。
 『ハードコア』は、一人称視点(FPS)の映像によるアクション映画。映像はすべて主人公の目線で、シンクロ(同期)する。まさに映像革命。「攻殻機動隊」のハリウッド実写化で、少佐役がスカヨハだから、『ゴースト・イン・ザ・シェル』は文句なし。『ムーンライト』は勿論良いけれど、アカデミー賞作品賞は少々疑問。『ライオン』は感動の実話。タイトルの意味が、最後に明かされる。『わたしは、ダニエル・ブレイク』は、名匠ケン・ローチ監督の傑作。理不尽、不条理な現実への異議申し立て。これは英国だけの問題ではないだろう。最も印象に残ったのが『メットガラ』。NYメトロポリタン美術館(MET)のファッション展のドキュメンタリーだ。展覧会初日のたった一夜のメットガラために奔走する制作過程、展示へのこだわり、ファッション、ゲストの豪華さに感嘆。『午後8時の訪問者』は、静かだけれど深い人間ドラマ。監督はパルムドール2冠のダルデンヌ兄弟。ユーモアに溢れた、ちょっと変わったロードムービーが『はじまりへの旅』。普通とは、常識とは何かを考えさせられる。エンターテインメントとしての快作が『ワイルド・スピード』。シリーズを全部観ているファンの一人だ。僕が監督で観る代表がウディ・アレン。『カフェ・ソサエティ』は、アレン監督得意のビタースウィートなロマンティックコメディ。黄金時代のハリウッドの雰囲気が最高だった。永井豪の「鋼鉄ジーグ」をモチーフにした、イタリア映画が『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』。ダークヒーローものの快作(怪作?)で、不思議な魅力がある。『オン・ザ・ミルキー・ロード』はマスコミ試写で観た(公開は9月)。世界3大映画祭を制覇したエミール・クトリッツア監督が、監督・脚本・主演を務めた最新作。相変わらずの奇想天外なストーリーに、反戦の想いを描く。ヒロインがモニカ・ベルッチというのも良い。狂騒のダンスシーンをはじめ、全編に響くバルカン・ミュージックが耳に残る。

『ハードコア』              (HARDCORE HENRY)              イリヤ・ナイシュラー監督
『ゴースト・イン・ザ・シェル』     (GHOST IN THE SHELL)             ルパート・サンダース監督
『ライオン 25年目のただいま』     (LION)                      ガース・ディヴィス監督
『ムーンライト』            (MOONLIGHT)                  バリー・ジェンキンス監督
『わたしは、ダニエル・ブレイク』    (I, Daniel Blake)                     ケン・ローチ監督
『メットガラ ドレスをまとった美術館』 (THE FIRSY MONDAY IN MAY)          アンドリュー・ロッシ監督
『午後8時の訪問者』          (La Fille Inconnue)      ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ監督
『ワイルド・スピードICE BREAK』    (FAST & FURIOUS 8)                F.ゲイリー・グレイ監督
『カフェ・ソサエティ』         (Café Society)                    ウディ・アレン監督
『はじまりへの旅』           (Captain Fantastic)                   マット・ロス監督
『ゴールド 金塊の行方』        (GOLD)                    スティーヴン・ギャガン監督
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』     (LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT)     ガブリエーレ・マイネッティ監督
『オン・ザ・ミルキー・ロード』     (On the Milky Road)             エミール・クストリッツア監督
『ありがとう、トニ・エルドマン』    (TONI ERDMANN)                   マーレン・アデ監督