JTWO 日本旅行作家協会・会員個人ページ

中村 浩美  NAKAMURA,Hiromi ⑪      

<2013年 OCT.~DEC.>
★ 
STAGE Lecture
 2013年は、ブライトリング社関連の仕事がメインの年となった。2月フィリピンでの「BREITLING JET TEAM」の同乗取材に始まって、5月のBJTジャパンツアー同行、そして8月の「BJT in FUKUSHIMA AGAIN !」福島復興支援エアショーでのコメンタリー(実況解説)まで、充実した仕事をさせてもらった。さらに10月には、ブライトリング社の「オフィシャル・セミナー」に、ゲスト講師として招かれた。これは、ブライトリング製品の、オフィシャル・セールスマンの資格を取るためのセミナー。10月1日に大阪(ウエスティンホテル)、3日、4日には東京(コンラッド東京ホテル)で、各日程それぞれ2回の講演を行なった。テーマは「ブライトリング社と航空界」。パイロットや航空従事者には垂涎の的であるブライトリング社の時計と、航空界の深いかかわり、同社の航空界への貢献についてレクチュアした。幸い受講者の皆さんに好評で迎えられ、ブライトリング・ジャパンのスタッフにも喜んでもらえた。

 WRITING Articles
 11月に『現代用語の基礎知識2014』(自由国民社)が出版された。その「エネルギー」の項目を執筆。2013年版までは、神津カンナさんとの共同執筆だったが、2014年版からは単独執筆となった。創刊65周年ということで2013年版では、特別版として従来からのA5判に加えてB5判サイズの「大字版」が、試験的に製作されたが、好評だったようで2014年版で「大字版」もスタンダードになった。どちらも「流行語大賞30周年」の別冊付録付き。A5判の通常版が2,980円、「大字版」が3,800円(いずれも税込)。全国の書店でどうぞ!
 NPO羽田航空宇宙科学館推進会議(HASM)の会報誌『羽田の青い空』69号に、「追悼のフォーメーション・フライト(2)」を執筆。68号所収に続く、BJTのジャパンツアー同行記の後篇。ハイライトは、僕がコメンタリーを務めた、福島での復興支援エアショーのストーリー。

オフィシャル・セミナーのガイド 『現代用語の基礎知識2014』(大字版) 『羽田の青い空』掲載原稿扉頁

★ COMENT on Radio, Newspaper
 東海ラジオ「夕焼けナビ」のインタビューで、これまでボーイング機を中心に運航してきた日本航空による、エアバス機の大量発注についてコメント(10月9日OA)。北海道新聞のインタビューに応え、秘密保護法案についてコメント(11月20日「揺らぐ知る権利」欄に掲載)。1968年に、叔父でもある航空評論家・軍事評論家の草分け、故・青木日出雄氏が「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」違反の疑いで事情聴取されたことがあった。これは冤罪で結局は不起訴になったが、当時は本人にも家族にも大きな影響が及んだ。その頃の事情を知る身内の一人として、安倍政権の「秘密保護法案」についてその課題など、数回にわたりコメントを求められたもの。
COMMITTEE
 2013年も委員会委員としての活動は継続。国の委員をひとつ、独立行政法人の委員をふたつ、財団の委員をひとつ、県(山形県)の委員をふたつ務めた。委員会の目的、テーマは、国土の精密観測、原子力関連、地域振興、科学技術奨励、科学館運営と多岐にわたった。

≪MY HOBBY 2013 OCT.~DEC.
『僕の交書録』<BOOKS MY BEST 2013 OCT.~DEC.>
 2013年10月~12月期の読書歴は、計24冊と少々低調だった。内容的にも、これという良書になかなか出会えなかったが、11月にヒラリー・マンテルのブッカー賞受賞作『罪人を召し出せ』(トマス・クロムウエルを描く、やはりブッカー賞受賞『ウルフ・ホール』の続篇)を読み、12月になって塩野七生さんの『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(上・下)が出て、何とか充実した交書録で年末を迎えることができた。洋書と専門書を除いた、ホビーとしての読書のこの期のMY BESTは以下の8作品。順番は読了した順。なお2013年の読書歴は計88冊。2年連続で100冊に届かなかった。
[ Non Fiction ]
『都市の誕生 古代から現代までの世界の都市文化を読む』P・D・スミス      (河出書房新社)
『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(上・下)       塩野七生          (新潮社)
[ Fiction ]
『死もまた我等なり クリフトン年代記第2部』(上・下)  ジェフリー・アーチャー   (新潮文庫) 
『狼の王子』                     クリスチャン・モルク(ハヤカワ・ミステリ)
『バッドタイム・ブルース』             オリヴァー・ハリス(ハヤカワ・ミステリ文庫)
『空のグラス』                   J・I・ベイカー  (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『罪人を召し出せ』                   ヒラリー・マンテル     (早川書房)
『死層』(上・下)                  パトリシア・コーンウエル   (講談社文庫)


『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2013 OCT.~DEC.>
 交書録が低調気味だったのに対し、映画鑑賞のほうは絶好調。この期の3か月に計27本。試写は1本のみで26本は劇場で鑑賞。ドキュメンタリーを含め、気に入った作品が多く選ぶのが難しかったが、一応今期のMY BESTは以下の18本(順番は鑑賞順、※はドキュメンタリー)。邦画は女優で観た北川景子と深田恭子の「ルームメイト」のみ。なお2013年の映画歴は計93本。2年連続の90本越えとなった。
『タイピスト!』(POPULAIRE)                      レジス・ロワンサル 監督
『ランナウェイ/逃亡者』(THE COMPANY YOU KEEP)          ロバート・レッドフォード 監督
『トランス』(TRANCE)                             ダニー・ボイル 監督
『グランド・イリュージョン』(NOW YOU SEE ME)                 ルイ・レテリエ 監督
『ルノワール 陽だまりの裸婦』(Renoir)                   ジル・ブルドス 監督
『42 ~世界を変えた男~』(42 The Jackie robinson Story)    ブライアン・ヘルゲランド 監督
『ルームメイト』                                 古澤 健 監督
『セイフヘイヴン』(SAFE HAVEN)                     ラッセ・ハルストレム 監督
『パンドラの約束』※(PANDORA’ S PROMISE)                ロバート・ストーン 監督
『悪の法則』(THE COUNSELOR)                       リドリー・スコット 監督
『ウォールフラワー』(The Perks of Being a Wallflower)      スティーブン・チョボスキー 監督
『ふたりのアトリエ ~ある彫刻家とモデル』(El Artista y la modelo) フェルナンド・トルエバ 監督
『鑑定士と顔のない依頼人』(The Best Offer )            ジュゼッペ・トルナトーレ 監督
『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』※(20 FEET FROM STARDOM)     モーガン・ネヴィル 監督
『ファイア by ルブタン』※(FEU/Fire by Loubutin)              ブルノ・ユラン 監督
『ゼロ・グラビティ』(GRAVITY)                 アルフォンソ・キュアロン 監督
『ブリングリング』(THE BLINGRING)                  ソフィア・コッポラ 監督
『おじいちゃんの里帰り』(Almanya‐Willkommen in Deutschland)    ヤセミン・サムデレリ 監督


<2013年 MAY~SEP.>
★ 
COVERAGE

 BREITLING JET TEAM Japan Tour 2013
 スイスの高級時計ブランド・ブライトリング社がスポンサードする、民間最大のエアロバティックス・チームBREITLING JET TEAM(BJT)。2月にフィリピンで同乗取材したそのBJTが、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、韓国を巡るAsian Tourを終えて、5月3日にJapan Tourのため来日。日本でのベースとなる神戸空港の神戸エアセンターに、アエロL-39Cの翼を並べた。アジア各国でのエアショーは1国1か所での開催だったが、ジャパンツアーは特別で、米海兵隊岩国基地、神戸港、横浜港、福島いわき小名浜港の4か所で、エアショーあるいはフォーメーション・フライトが予定された。そのすべてで僕は、ショーのコメンタリー(実況解説)とトークショーを担当することになっていた。
 ところが岩国基地のフレンドシップデイが、国防総省の予算削減のため中止になり、ブライトリング・ジェット・チームの日本デビューは神戸港沖の明石海峡大橋東側海域上空でのエアショーとなった。5月5日に神戸空港の神戸エアセンターで、BJTのリーダー、ジャック・ボツラン氏と、レーシングドライバーの山本左近氏とトークショー。左近さんはフィリピンで同乗フライトした仲間だ。そして翌6日に、日本初のBJTのエアショーが開催された。観客は6隻の大型観光船でショー海域に向かった。僕は「ルミナス神戸2」に乗船、デッキに設けられた特設ステージでエアショーのコメンタリーを行なった。関空と神戸空港の空域制限のため、使用高度に制限が設けられ、垂直系の演技はできなかったものの、日本初披露のフォーメーションもソロ演技も、観客に大きな感動と興奮を与えることができた。BJTにとって初めての洋上エアショーでもあった。関西の皆さんはノリがいい。リアクションが派手だ。おかげで僕のコメンタリーも盛り上がった!終了後は神戸エアセンターに戻って、エアショーの感激を共有した皆さんを前に、またトークショーを実施。

 
 神戸エアセンターに翼を並べたBJT  BJTのパフォーマンス (Photos by Hiromi Nakamura)

 神戸での日本デビュー・エアショーを成功裏に終えたBJTだったが、その後は悲喜交々のジャパンツアーとなった。11日に横浜開港祭プレイベントとして企画された、横浜港でフォーメーション・フライトは、前日のリハーサルは実施できたものの、本番は悪天候でキャンセル。山下公園の特設会場で予定していた、僕のトークショーもコメンタリーも中止された。ただし神戸からの移動の途中で、富士山を背景にスモークオンする編隊のフォト・セッションは実施できた。
BJTのジャパンツアー最大の目的は、被災地福島県の訪問だった。現地では「みんなで大空を見上げよう」プロジェクトを立ち上げ、BJTの訪問を歓迎していた。『被災した福島の皆さんに、大空を見上げる機会を与えたい。大空を見上げることは希望につながる。BJTが福島の空を飛ぶことで、人々が上を向き、大空に希望や夢を描いてほしい。』それがチームの願いであり、大空からのメッセージだった。そこでまず11日に福島県内のフライバイ(低空訪問飛行)が実施された。郡山、福島など中通りと、猪苗代湖、会津若松(鶴ヶ城)など会津の各地上空を訪問(悪天候のため浜通りでの飛行は断念)、大空を見上げる人々にメッセージを届けた。そして5月12日、小名浜港、これがジャパンツアーのハイライトの予定だった。神戸のような高度制限もなく、初めてのフル・エアショーを演じる計画だった。リーダーのジャックさんを迎えた朝のトークショーの時点では、小名浜港上空は青空だったのだけれど、その後海霧が押し寄せてきた。やがて会場上空は雲に覆われてしまった。天候回復を待ってエアショーは延期されたが、午後になっても回復せず、最終的にBJTのショー実施は不可能と判断された。断腸の思いでのキャンセルだった。『私たちのディスプレーを見せられなかったのは本当に残念だが、福島で多くの友と出会えたことは嬉しい。私たちは福島を忘れない。どうやって再び福島に戻ってくるか、すでに考え始めています。』ジャックさんのこの言葉を残して、BJTは福島を、日本を去った。

   ▼富士山を背景に、スモークオンで編隊飛行するBJT(Photo by Katsuhiko Tokunaga)
会津若松鶴ヶ城を眼下に、スモークオンで編隊飛行するBJT ▼ (Photo by Katsuhiko Tokunaga)

 BJTのメンバーは、整備点検を受ける使用機のアエロL-39Cアルバトロスを神戸エアセンターに残して、フランスへ帰国したが、福島の人々の想い出は消えることがなかった。ウエブ上には、県内各地で撮られたフライバイの写真や、大空にBJTを見上げた人々のメッセージが溢れ続けていた。ハイライトのエアショーはキャンセルになったが、『感動をありがとう』『元気と夢をもらいました』などの声が多数寄せられた。そしてBJTのパイロットたちと交流した小学生たちから、感謝の気持ちと『また福島に来てください』というメッセージを伝える絵手紙を満載したビデオレターが、フランス・ディジョンのチームのもとに届いた。そして福島の人々の熱意とBJTの想いが、「みんなで大空を見上げよう!AGAIN」「BREITLING JET TEAM AGAIN in FUKUSHIMA」プロジェクトを実現させることになった。
BJTチームは再来日を果たし、8月7日、8日、福島市郊外の「ふくしまスカイパーク」を会場に、「復興支援エアショー」が実現したのだった。僕はまたトークショーと、エアショーでのコメンタリーを務めた。天候にも恵まれた両日、BJTは高度などに制限のないフル・エアショーを演じた。華麗なフォーメーションの演技、デュアルソロによるスリリングなパフォーマンス、BJTの魅力が福島の空に展開された。ジャパンツアーの最終目的であり、福島の人々との約束を果たすエアショーだった。5月には悪天候のため断念した、被災地・浜通りへの念願のフライバイも実施できた。再び福島の皆さんは大空を見上げた。ふくしまスカイパークの空を見上げる人々の興奮と感動が、コメンタリーを務める僕にも伝わってきた。そして完璧なディスプレーを福島の空に披露できる、BJTの喜びも伝わってくるようだった。
フィナーレの演目は、スモークオンで編隊上昇しながら四方に散開するシャンパン・スプリットだ。スプリットしながらフレアを放出する派手な演出。スモークの中にフレアの光が輝く、花火のような華やかさだった。これでエアショーは終了した。しかしBJTは、特別なフォーメーションのサプライズを用意していた。再び7機編隊を組んだBJTが、会場正面から進入してきた。歓声が挙がる。そして2番機だけが上昇反転して、編隊を離脱した。1機が抜けたポジションを空席にしたまま、残る6機の編隊はスモークオンでゆっくりと上空をフライパス。それを見上げながら、僕は最後のコメンタリーを行なった。
 『ご覧ください。編隊の中で1機だけポジションが欠けています。そのポジションを空けたままの編隊飛行、これはミッシングマン・フォーメーションという、特別なフォーメーションです。失われた人を追悼する想いを込めています。つまり震災で被害にあわれた福島の人々に捧げる、追悼のフォーメーションなのです。エアショーでこれが披露されることは、通常はありません。ブライトリング・ジェット・チームが、福島の皆さんに捧げる哀悼と追悼の想いを込めた、特別な追悼のフォーメーション・フライトなのです。』多くの人々が大きく手を振って、会場を後にするBJTを見送った。涙を流す人の姿も少なくなかった。この日、BJTの大空からのメッセージは、確かな手ごたえで福島の人々に伝わった。BJTのジャパンツアーはこうして終わった。2月から続いた、僕のBJTミッションも終わった。

 エアショー(福島)で実況解説中 BJTが福島の皆さんに捧げた追悼のフォーメーション(Photos by BREITLING)

★ 
STAGE Lecture
 6月29日に松山市で講演会。評論家の木元教子さんとの対談形式で、「木元教子と中村浩美のトークライブ “考えよう!未来のくらしとエネルギー”」というイベント(主催:えひめエネルギーの会、協賛:フォーラム・エネルギーを考える)。会場は、いよてつ高島屋ローズホール。これからの日本と世界のエネルギー需給、再生可能エネルギーの可能性、原子力発電の位置などの内容を、カジュアルな雰囲気でトーク。聴衆は、99.9%が松山を中心とした愛媛の主婦層の皆さんだった。その模様はETT(フォーラム・エネルギーを考える)のHP「地域活動紹介」(http://www.ett.gr.jp/information/2013/n20130629.html)に掲載されている

★  WRITING Articles
 この時期の執筆記録としては、まず日本原子力学会誌『アトモス』5月号の「談話室」欄に、エッセイ「極秘計画のマネジメント」を発表。極秘計画で数々の航空機を開発した、ロッキード社の極秘チーム「スカンク・ワークス」のオペレーションと、ユニークなマネジメントを分析。高度な技術を扱う組織論の一例として、チームリーダーの天才設計者ケリー・ジョンソン氏の経営理念を紹介した。現在理事長を務めているNPO羽田航空宇宙科学館推進会議(HASM)の会報誌『羽田の青い空』68号に、BJTのジャパンツアー同行記を執筆。日本の航空史に足跡を印したBJTツアーの悲喜交々の実態を、同行者としての、エアショーのコメンタリーとしての視点から綴った。タイトルは「追悼のフォーメーション・フライト BREITLING JET TEAM Japan Tour 2013」。2回連載の予定で、今回はその前篇。
     
 木元さんとのトークライブのチラシ  『アトモス』誌5月号表紙  『羽田の青い空」掲載の扉頁

★ 
COMMENT on TV, Newspaper
 5月16日に、ネパール北部のジョムソン空港で起きた着陸失敗事故について、サンケイ新聞、フジテレビ「スーパーニュース」でコメント。オーバーランして川に突っ込み、日本人乗客も重傷を負ったという事故だった。ジョムソン空港はヒマラヤ山系のトレッキングの玄関口で、標高約2,700mの高地にあり、周囲を7,000m級の山に囲まれた、世界有数の危険な空港として知られており、『世界でも難易度の極めて高い空港で、熟練した現地のパイロットでも相当慎重な操縦が求められる』と指摘、山を避けながら着陸しようとすると、進入角度がきつくなり『着陸後も減速が十分にできず、オーバーランしやすい』などとコメントした。

≪MY HOBBY 2013 MAY~SEP.
『僕の交書録』<BOOKS MY BEST 2013 MAY~SEP.>
 2013年5月から9月までの読書歴は、購入したのが32冊、贈呈いただいたのが4冊の計36冊。5か月間の読書量としては例年より少なめだった。猛暑の夏と、ブライトリング・ジェット・チームのジャパンツアー同行で忙しかったのが原因か? その中で洋書と専門書を除いた、ホビーとしての僕の読書のMY BESTが以下の15作品(順番は読了した順)。さらにベストファイブを挙げると、『時のみぞ知る』、『冬のフロスト』、『消滅した国の刑事』、『HHhH』、『ザ・ナイン』となる。
[ Non Fiction ]
『ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔』      ジェフリー・トゥービン              (河出書房新社)
『東洋の至宝を世界に売った美術商         ハウス・オブ・ヤマナカ』 朽木ゆり子    (新潮文庫)
[ Fiction ]
『特捜部Q カルテ番号64 』              ユッシ・エーズラ・オールスン         (ハヤカワ・ミステリ)
『時のみぞ知る クリフトン年代記第1部 上・下』 ジェフリー・アーチャー             (新潮文庫)
『コリーニ事件』                      フェルディナント・フォン・シーラッハ     (東京創元社)
『リヴィア あるいは生きながら埋められて アヴィニョン五重奏Ⅱ』  ロレンス・ダレル     (河出書房新社)
『ミステリガール』                    デイヴィッド・ゴードン              (ハヤカワ・ミステリ)
『白雪姫には死んでもらう』              ネル・ノイハウス                 (創元推理文庫)
『冬のフロスト 上・下』                 R・D・ウイングフィールド            (創元推理文庫)
『消滅した国の刑事』                  ヴォルフラム・フライシュハウアー      (創元推理文庫)
『HHhH プラハ、1942年』                ローラン・ビネ                   (東京創元社)
『緑衣の女』                        アーナルデュル・インドリダソン        (東京創元社)
『死者の声なき声 上・下』               フォルカー・クッチャー             (創元推理文庫)
『甦ったスパイ』                      チャールズ・カミング              (ハヤカワ文庫NV)
『カルニヴィア1 禁忌』                 ジョナサン・ホルト                (ハヤカワ・ミステリ)


『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2013 MAY~SEP.>
 5月~9月の間に観た映画は、劇場で34本、試写会で2本の計36本で、1月から数えると計66本。映画マニアとしてはまあまあ順調な数。その中でのMY BESTは以下の13本(順番は鑑賞した順)。ベストファイブは、『孤独な天使たち』、『イノセント・ガーデン』、『欲望のバージニア』、『ペーパーボーイ』、『クロワッサンで朝食を』。
『ヒステリア』(Hysteria)                ターニャ・ウエクスラー監督
『孤独な天使たち』 (IO E TE)              ベルナルド・ベルトリッチ監督
『オブリビオン』 (OBLIVION)               ジョセフ・コシンスキー監督
『イノセント・ガーデン』 (STOKER)            パク・チャヌク監督
『スプリング・ブレイカーズ』 (SPRING BREAKERS)      ハーモニー・コリン監督
『アンコール!!』 (SONG FOR MARION)           ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督
『欲望のバージニア』 (LAWLESS)              ジョン・ヒルコート監督
『25年目の弦楽四重奏』 (A LATE QUARTET)         ヤーロン・ジルバーマン監督
『最後のマイ・ウエイ』 (MY WAY)             フローラン=エミリオ・シリ監督
『ペーパーボーイ 真夏の引力』 (The Paperboy)      リー・ダニエルズ監督
『クロワッサンで朝食を』 (Une Estonienne ã Paris)   イルマル・ラーグ監督
『スマイル、アゲイン』 (Playing for Keeps)       ガブリエレ・ムッチィーノ監督
『オン・ザ・ロード』 (ON THE ROAD)           ウォルター・サレス監督


<2013年 JAN.~APR.>

★ COVERAGE
 久しぶりに海外で飛行機の取材。しかもアクロバット飛行に同乗する取材だった。スイスの高級時計メーカー、ブライトリングがスポンサーで、フランスのディジョンをベースとするBREITLING JET TEAMのL-39アルバトロスに同乗。BJTは世界で唯一の、民間のアクロバット飛行(エアロバティックス)チームだ。BJTがAsian Tourの途上で、フィリピンのクラークシティ(旧クラーク空軍基地)で開催されたエアショーに出演した際に、同乗フライトを経験したもの。BJTが5月にJapan Tourを行なう際に、僕がショーのナレーションやイベントのコメンテーターを務める関係で、同乗取材の機会を得た
 「Mr.NakamuraはF-15イーグルにも同乗しているし、+5Gや6Gのアクロでも大丈夫でしょう」と飛行前のブリーフィングで言われた。確かに米空軍のイーグルで空戦訓練に同乗取材したことはあるし(拙著『飛行機をめぐる冒険』に搭乗記所収)、カナダ国防空軍のアクロ飛行チーム「スノーバーズ」や、「フレンチ・コネクション」など民間のアクロ飛行チーム、複葉のアクロ専用機などなど同乗経験は少なくないが、何と言っても還暦を過ぎてからのジェット機でのアクロバット飛行は初めて! さすがに飛行前は少しナーバスになったものの、実際にはフォーメーションでのアクロ、ソロでのアクロを充分に楽しむことができた。体力、気力ともにまだまだ大丈夫! ちなみに僕のパイロットを務めてくれた6番機の“シェリフ”は、フランス空軍のアクロバット飛行チーム「パトルイユ・ド・フランス」の出身だ。

 STAGE Lecture,Symposium
<Science School> 2月に約3週間かけて、サイエンススクール岩手ツアーを行なった。岩手県の主催で、大震災で被災した中・高校生たちを励ます企画で、名付けて『いわてものづくり未来創造塾』。地震と津波に襲われた太平洋岸の久慈市(文化会館アンバーホール)、大船渡市(文化会館リアスホール)、釜石市(県立釜石商工高校はまゆりホール)、宮古市(岩手県立大学宮古短期大学部大講義室)を巡り、各地の中学生、高校生に受講してもらった。第1部は「宇宙」、第2部は「地球」がテーマで、生徒参加の実験や宇宙からの映像などを交えて多角的な授業を行なった。僕が塾長を務め、JAXAの的川泰宣名誉教授、気象予報士の田代大輔さん、岩谷忠幸さんをゲスト講師に迎えた。いずれの会場でも、生徒さんたちは熱心に参加してくれたし、普段の授業とは異なるスクールを楽しんでくれた。塾の様子は、地元の新聞やテレビでも報じられた。
 写真は宮古会場(岩手県立大学宮古短期大学部大講義室)の様子。↓ 塾長、的川先生(中央)、田代さん(右)

<Talk Show> 春と秋に恒例となった、池袋東武百貨店でのトークショー。春の「東美会」はアメリカフェアで、「PRIDE in the U.S.A」と名付けられ、アメリカのさまざまなプロダクツや文化が紹介され、展示即売された。そこでタイトルを「アメリカのエアラインとNASAの宇宙基地」(Airlines of the United States & NASA Facilities)として、3月10日に午前1回、午後2回のトークショーを行なった。

★ 
WRITING Articles
 執筆関係では、月刊『エネルギー・フォーラム』3月号に、「原子力規制委員会の活断層調査への疑問」と題した論文を執筆。特集の巻頭を飾る全6ページの取材リポート。安倍政権は、極端な脱原子力政策を掲げていた民主党政権のエネルギー戦略を、ゼロベースで見直すとしているが、そこで焦点となるのが停止中の原子力発電所の再稼働だ。その再稼働に向けた大きなハードルの一つが、原子力規制委員会の活断層調査。調査は科学的、中立的に行なわれているのか、その疑問に切り込んだもの。原子力分野では、反響の大きい論文となった。

≪MY HOBBY 2013 Jan.~Apr.
『僕の交書録』<BOOKS MY BEST 2013 Jan.~Apr.>
 2013年1月から4月までの4か月間の読書歴は、購入したのが31冊、贈呈いただいたのが3冊の計34冊。海外・国内の出張が続き、落ち着いた読書の時間をなかなか持てず、例年よりも少ないスタートとなった。その中で洋書と専門書を除いた、ホビーとしての読書のMY BESTが以下の11作品。
 『北の無人駅から』は、「誰も書かなかった北海道」と帯にもあるとおり、北海道の無人駅とそこにまつわるストーリーを掘り下げることで見えてきた、もうひとつの北海道全7章。約800ページ、圧巻の力作。サントリー学芸賞受賞作だ。『ムッシュー あるいは闇の君主』は、ダレル最後の超大作「アヴィニョン五重奏」全5巻の第1巻。海外での評価は様々なようだが、学生時代にあの「アレクサンドリア四重奏」に魅せられたファンとしては、 MY BEST に押さざるを得ないところ。全5巻の翻訳刊行が成るのは、2014年秋とのこと。フィクションでは相変わらず欧州系のミステリを楽しんでいる。『極夜 カーモス』はフィンランド、『冬の生贄』はスウエーデン、『夏を殺す少女』はドイツ発のミステリ。しかしアメリカにはルヘインがいる!『夜に生きる』は圧巻のルヘイン・ワールド。
 鳴り物入りで刊行されたローリングの『カジュアル・ベイカンシー』は、さすがの作品。翻訳上下巻を一気に読んだ。『ハリー・ポッター』だけの作家ではないことを実証。事前に内容を一切公表しないという、別の意味での鳴り物入り?は、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。発売当日の昼に買ったら、すでに第2刷だった。時代の異なる『されど、われらが日々』(柴田翔)というのが、僕の印象。前作『1Q84』よりは好感。強烈な印象作は、増田俊也『七帝柔道記』だ。MY BEST 2011を圧倒した、あの『木村政彦は…』の原点とも言うべき、寝技中心の七帝柔道に学生生活の全てをかけた若者群像を描く、圧巻の自伝的青春小説。昨年秋、新潮ドキュメント賞贈呈式での、増田さんの佇まいを思い出しながら熱く読んだ。
[ Non Fiction ]
『想いの軌跡 1975-2012』               塩野七生              (新潮社)
『北の無人駅から』                     渡辺一史          (北海道新聞社)
[ Fiction ]
『ムッシュー あるいは闇の君主』            ロレンス・ダレル      (河出書房新社)
『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席Ⅰ、Ⅱ』   J.K.ローリング           (講談社)
『極夜 カーモス』                     ジェイムズ・トンプソン    (集英社文庫)
『夏を殺す少女』                      アンドレアス・グルーバー  (創元推理文庫)
『夜に生きる』                        デニス・ルヘイン   (ハヤカワ・ミステリ)
『七帝柔道記』                       増田俊也            (角川書店)
『隠し絵の囚人 上・下』                 ロバート・ゴダード      (講談社文庫)
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』   村上春樹             (文藝春秋)
『冬の生贄 上・下』                   モンス・カッレントフト    (創元推理文庫)
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『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2013 Jan.~Apr.>

 
1月から4月に観た映画は、劇場で28本、試写会で1本の計29本で、まあまあ順調な滑り出し。今期のMY BESTは以下の11本。次点が『シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ』(ダニエル・コーエン監督)と『ムーンライズ・キングダム』(ウェス・アンダーソン監督)。
 唯一のドキュメンタリー『シュガーマン』が圧巻(日本語タイトルは感心しないが)。幻のスターシンガー追跡のドキュメント。熱くさせられた。熱かったのは『塀の中のジュリアス・シーザー』も同じ。レビッビア刑務所の重罪犯が演じるシェイクスピア劇。演じながら役に同化して行く囚人たちが、圧倒的な迫力。『ゼロ・ダーク・サーティ』は、さすがのアカデミー賞作品。『ジャンゴ』は、タランティーノ流西部劇、外さない娯楽活劇はさすが!『愛、アムール』と『カルテット!』では、老いるということについていろいろ考えさせられた。『ハッシュパピー』は、暗喩に富んだ作品。史上最年少アカデミー賞ノミネートの主役少女に魅せられた。『ホーリー・モーターズ』は、きわめて映画的な映画と言える鬼才カラックス監督の作品。演じるということの究極的な追及。ラストが衝撃的!心優しく楽しめたのが『世界にひとつのプレイブック』と『天使の分け前』だった。

『塀の中のジュリアス・シーザー』 (Cesare deve morire) パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督
『ゼロ・ダーク・サーティ』 (ZERO DARK THIRTY)  キャスリン・ビグロー監督
『ジャンゴ 繋がれざる者』 (DJANGO UNCHAINED)クエンティン・タランティーノ監督
『愛、アムール』 (Amour)              ミヒャエル・ハネケ監督
『世界にひとつのプレイブック』 (SILVER LININGS PLAYBOOK)デヴィッド・O・ラッセル監督
『クラウドアトラス』 (CLOUD ATLAS)  ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ監督
『シュガーマン 奇跡に愛された男』 (SERCHING FOR SUGAR MAN) マリク・ベンジェルール監督
『ザ・マスター』 (THE MASTER)            ポール・トーマス・アンダーソン監督
『ホーリー・モーターズ』 (HOLY MOTORS) レオ・カラックス監督
『天使の分け前』 (THE ANGELS’ SHARE)        ケン・ローチ監督
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』 (BEASTS OF THE SOUTHERN WILD)ベン・ザイトリン監督
『カルテット! 人生のオペラハウス』 (Quartet)      ダスティン・ホフマン監督
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