第3回受賞作は、
若林正恭(オードリー)『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(KADOKAWA)

斎藤茂太賞は、当協会創立会長の故・斎藤茂太氏の功績をたたえ、その志を引き継ぐために2016年に創設したもので、今年が3回目となります。対象は2017年に出版された紀行・旅行記、旅に関するエッセイ及びノンフィクション作品。5月25日に開かれた最終選考会で賞か決定しました。授賞式は7月26日(木)に、東京・内幸町の日本プレスセンター内レストラン・アラスカにて行われます
航空券予約サイトで見つけた、たった1席の空席。何者かに背中を押されたかのように2016年夏、ひとりキューバへと旅立った。慣れない葉巻をくわえ、芸人としてカストロの演説に想いを馳せる。キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない。若林節を堪能できる書き下ろし作品。

[総評](下重暁子)

最終選考に残った3作品のうち、『カナダ歴史街道をゆく』は、丁寧な取材に裏付けされた豊かな広がりを見せる作品ではあるが、その「物語性」に今ひとつ深みが足りなかった。残った『バッタを倒しにアフリカへ』(以下A)と『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(以下B)で賞を争うことになったが、当初は意見が二つに分かれた。面白さという点でいえばAが群を抜いている。しかし、すでに複数の賞を受賞し、評価が固まっていることなどが逆にマイナス要素となった。本賞の目的の一つは「新しい書き手を発掘する」ことでもある。航空券の予約サイトで見つけた、たった一席の空席。一人キューバに旅立った3泊5日の弾丸旅行をつづる本書はそのピュアな視点、ものの考え方も高評価の対象となった。思わず椎名委員から「純文学」という言葉が飛び出したほどの新鮮さとその将来性を重視した結果、今回はBを選ぶこととなった。お笑いの世界でも大活躍の著者が、文筆家としてさらに飛躍することを期待したい。(談)

[最終候補作]
■「バッタを倒しにアフリカへ」 (光文社新書・前野ウルド浩太郎著)
■「カナダ歴史街道をゆく」 (文芸春秋・上原善広著)
■「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」(KADOKAWA・若林正恭著)

[審査員]
下重暁子(作家・日本旅行作家協会会長)
椎名 誠(作家・日本旅行作家協会名誉会員)
芦原 伸(ノンフィクション作家・日本旅行作家協会専務理事)
種村国夫(イラストレーター・エッセイスト・日本旅行作家協会常任理事)
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