◇次の世界遺産候補?
全国には歴史上重要な役割を果たしてきた金銀銅山の跡が数多く残され、観光施設になっているところも多い。本文中の佐渡、土肥のほかにも、串木野(鹿児島県)、鯛生(大分県)、別子(愛媛県)、生野(兵庫県)、鳴海(新潟県)などが知られる。
ところが、私たちが2009年に群馬県片品村の山中で発見した金山の跡は、まだ未公開で地元の人もわずかしか知らない。戦国時代に甲斐の武田氏が発見し、江戸時代の半ばまで採掘が行われていた金井沢金山は、多くの文献は残されていたが、長い間その所在が不明だった。私たちは1992年に調査に着手、17年かけてふさがれていた入り口を発見、坑道内に入ることに成功した。きちんと調査を終えたあとには一般公開するつもりである。 |
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地元に住んでいた老人(故人)の証言や、現場に残る石碑、石臼の破片などから、この斜面に入り口があると信じた。崩れ落ちる土砂を木組みで止め、苦労の末、2009年9月、ようやく坑道の入り口を探り当てた。 |
入り口からまっすぐ60m続く坑道内にはどこにも崩壊の跡はなく、400年以上前から掘っていたとは信じられないほど美しい。公開されている金山跡の坑道と比較してもひけはとらない。いずれ史跡の仲間入りをすることだろう。 |
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