
平野久美子著 小学館 2025年2月刊
台湾で作られている工芸品の製作者に直接会い、話を聞き、作品の写真も掲載して紹介している本。著者は今年75歳、学習院大学文学部仏文科を卒業、出版社勤務を経て文筆家となる。『淡々有情――日本人より日本人の物語』で小学館ノンフィクション大賞を受賞。アジアを対象とした著作も多い。
本書は、単に台湾で作られる工芸製品を紹介するだけでなく、著者本人が台湾を訪れ、それぞれの作品の製作者に会って、色々と話を聞いているところが興味深い。彼らの目指しているところや、その人となりを細かく紹介している。製品の材料として竹のみではなく、キフジ、シャソウ、マニラ麻にコウゾやミツマタの繊維を撚ったもの、バナナの幹などを材料として使っている。その独自性が台湾製品の特徴とも言える。工房を訪ね作者と話し合う中で、台湾の歴史や伝統的製品作りの変遷などを聞いている。製作者の多くが中国出身ではない先住民で、日本では高砂族とまとめて紹介されているが、実は多くの種族に分かれている。彼らの来歴を、今まで知られてなかった台湾の歴史部分として紹介している。
読み出す前は、ただの工芸製品紹介の本かと思っていたが、それにとどまらず、製品の歴史や製作者たちの動機や将来への展望、それらを制作している台湾先住民の歴史にも触れ、洞察力のある台湾紹介本であると思った。台湾には、中国から来た人以外にも昔から住むいろいろな種族がいて、彼らが伝統的文化を守って各種の工芸製品を作り続けていることがわかる。彼らが自信を持って仕事をしている様子が伝わってくる。
