雪豹の大地 スピティ、冬に生きる

山本高樹著 雷鳥社 2025年4月刊

インド北部チベット文化圏に属するヒマーチャル・プラデーシュ州のスピティ地方の紀行。ここに生息する雪豹を追っての撮影行。雪豹は絶滅危惧種である。著者はラダックをはじめ世界を旅する旅行作家・写真家で、主に夏季の何回かの訪問ののち、この冬の1か月におよぶ雪豹撮影行となった。

スピティ地方は標高4000メートルを超える高山地で、急峻な山岳、深く切り落ちてゆく谷、僅かな住居地、州都と途切れがちな交通路など秘境感が強い。ここで、民泊に近い滞在をして雪豹と狐、禿鷹、アイベックスなどの生き物を撮る。同時に、チベット仏教と地付きの伝統的宗教と住民の祭りや儀式に出会い、立ち会っている。雪豹の撮影も困難が伴うが、厳しい自然環境のなかで暮らす人々と生き物の描写が美しい。

著者の当地に対する愛情と真摯さ、まじめな姿勢のなせる業だと感じる。ラダック語、英語とわずかなスピティ語で会話した人々との交流が印象深いものになっている。写真家でもある著者のスピティ地方の風景、習俗、生き物の写真ページがたくさんあり、それを見る楽しさも同時に味わえる良書である。