中村 浩美 Hiromi Nakamura
<2011年>
WRITING BOOKS & Articles
出版プロデュース
『野球の神様がくれたもの』
(桑田真澄・著 ポプラ社 1,400円+税)
読売ジャイアンツ、メジャーリーグのピッツバーグ・パイレーツで活躍した、桑田真澄氏の著書を出版プロデュースした。桑田氏との交遊は、彼がジャイアンツでMVPを獲得した1994年以来だから、もう17年になる。桑田氏の本のプロデユースは、これが3冊目。『試練が人を磨く 桑田真澄という生き方』(扶桑社1995年刊)、それにメジャーリーグ体験を加筆した文庫版(扶桑社文庫2007年刊)に続くのがこの1冊。アメリカでのメジャー、マイナーリーグ体験で得たもの、早稲田大学大学院での「野球道」と指導理念の研究(修士論文)、そしてこれからの野球界への提言とメッセージを、桑田氏に綴ってもらったもの。2010年夏前から準備を始め、面談を繰り返して執筆を激励し、2011年3月18日にやっと出版に至った。
新年早々、月刊『AIRLINE』(イカロス出版)誌に、こんな原稿を書いた。過去に自分が影響を受けた、あるいは最も印象的な航空図書を紹介する「あの人が選ぶヴィンテージ」というコラムだ。そこで採り上げたのが斎藤茂太著『飛行機とともに』(中公新書、1972年)。故・斎藤茂太創立会長へのオマージュを込めて、飛行機ファンにとっては記念碑的存在のこの1冊を紹介したもの。このHP上の掲載では字が細かすぎて読めない場合は、ぜひ書店でご覧下さい。月刊『AIRLINE』の3月号です。
月刊「AIRLINE」2011年3月号に執筆した「あの人が選ぶヴィンテージ」
執筆
『現代用語の基礎知識2012』
(自由国民社 2,838円+税)
5年目のジャンル別用語解説の執筆。2011年版までは「エネルギー・資源」だった項目が「エネルギー」に変更された。3.11の東日本大震災、それに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故があったので、用語の選択、解説が難しかった。特に政府のエネルギー政策が定まらないので、項目概要「この分野を読む」の執筆に苦労した(原稿の締め切りが夏でもあり)。
『週刊ポスト』(7.22/29号)のグラビア特集「ボーイング787発進!」で、日本に到着したばかりの最新鋭旅客機ボーイング787についてのコメント掲載。重大インシデントを起した北海道エアシステム(HAC)について、北海道新聞の「サンデー討論」(7月31日)に、「HACどう立て直す」と題して日本ヒューマンファクター研究所長の桑野偕紀さんとの対論が掲載された。
STAGE Lecture, Symposium
パネルディスカッション「温暖化対策は私たちの暮らしにどう影響するのか?」(1月24日、東京、フォーラム・エネルギーを考える)に登壇、講演会「宇宙から考える 地球温暖化と私たちの暮らし」(2月24日、新潟県柏崎市、わかばの会/首都圏エネルギー懇談会)、講演会「セキュリティ&リスク・マネジメント」(3月3日、青森県六ケ所村、青森地方検察庁)で、2011年の講演・シンポジウム活動は始まった。しかし3月11日に東日本大震災が発生し、それに伴う大津波によって東京電力福島第一発電所の事故も発生、すでに予定されていた3月中旬から5月末までの講演会、イベント、シンポジウムは、すべてキャンセルされた。これらは結局復活することはなかった。こうして2012年まで続く活動の停滞が始まった。
大震災以降の活動としては、講演会「地球環境とエネルギー」(5月16日、大阪、内外情勢調査会)、「青森県内原子力施設の安全対策 県民説明会」(7月14日、青森市、青森県庁)の司会進行、土井隆雄宇宙飛行士の講演会「宇宙飛行士からのメッセージ」(9月3日、埼玉県深谷市、深谷市役所)のトーク・コーディネーター、パネルディスカッション「これからの日本のエネルギーを考える」(11月29日、東京、フォーラム・エネルギーを考える)にパネリストとして登壇など。新規の活動として、池袋東武百貨店の東美会イベント「フランスの魅力・Salut de France!」でトークショー(9月4日)。「エール・フランスのデザインを楽しむ」と「パリのパサージュ散策」のタイトルで、午前・午後3回のトークショーを行なった。
原子力発電所の事故に伴って、反原発・脱原子力の風潮が高まり、風評被害なども相次いだ。そこで放射線・放射能の風評被害を防止するための、NPOの活動を支援するためのイベントに、オブザーバーとして数多く出席した。また国の原子力政策をめぐって、説明会等におけるいわゆる「仕込み質問」などがクローズアップされ、過去10年ほど多くの原子力シンポジウムでコーディネーターを務めたことから、第三者委員会のインタビューなど事情聴取を受けた。マスコミの取材攻勢にも見舞われた。しかし今後国のエネルギー政策がどう動こうと、僕の電源立地地域への支援の気持ちは揺るがない。12月6日には、いわき市へ避難していた福島県楢葉町役場の災害対策本部で、楢葉町の若手職員の皆さんに対して、「マイナスをプラスに 原子力災害を逆手にとった新しい地域づくりの発想」と題して講演をおこなった。その内容は講演というより楢葉町の皆さんへのエールだった。
『僕の交書録』 <BOOKS MY BEST 2011>
2011年の読書歴は、購入本が102冊、贈呈いただいた本が4冊、再読した本が5冊の計111冊。そのうち贈呈本、再読本、洋書を除いたMY BESTが下記の22著作(計30冊、順番は読了した順)。前年の2010年は、『黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志』『逝きし世の面影』『江戸という幻景』(いずれも渡辺京二)、『世紀末転換期のプラハ モダン都市の空間と文学的表象』(三谷研爾)、『ジョージ四世の夢のあと ヴィクトリア朝を準備した「芸術の庇護者」』(君塚直隆)、『建築家ムッソリーニ 独裁者が夢見たファシズムの都市』(パオロ・ニコローゾ)、フィクションでは『死者の名を読み上げよ』(イアン・ランキン)、『1Q84 BOOK3』(村上春樹)、『小暮写真館』(宮部みゆき)、『卵をめぐる祖父の戦争』(デイヴィッド・ベニオフ)、『夜は終わらない』(ジョージ・ペレケーノス)など、蒙を啓かれた秀作との出会いが多かったので、2011年の満足度は中の上程度。塩野七生さん、増田俊也さん、エルロイ、マンテル、ハミルトンの作品には大満足だったけれど、フランシスもパーカーも、遺作ゆえのランクインだったし…。
[ Non Fiction ]
『美術という見世物 油絵茶屋の時代』 | 木下直之 | (講談社学術文庫) |
『わたしの城下町 天守閣からみえる戦後の日本』 | 木下直之 | (筑摩書房) |
『紀元二千六百年 消費と観光のナショナリズム』 | ケネス・ルオフ | (朝日選書) |
『ウィトゲンシュタイン家の人びと 闘う家族』 | アレクザンダー・ウォー | (中央公論新社) |
『十字軍物語(2)(3)』 | 塩野七生 | (新潮社) |
『ワシントン・ハイツ GHQが東京に刻んだ戦後』 | 秋尾沙戸子 | (新潮文庫) |
『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』 | 増田俊也 | (新潮社) |
『琥珀の眼の兎』 | エドマンド・ドゥ・ヴァール | (早川書房) |
『小澤征爾さんと、音楽について話をする』 | 小澤征爾×村上春樹 | (新潮社) |
[Fiction]
『メイスン&ディクスン (上)(下)』 | トマス・ピンチョン | (新潮社) |
『矜 持』 | D.フランシス&F.フランシス | (早川書房) |
『黄昏に眠る秋』 | ヨハン・テオリン | (ハヤカワ・ミステリ) |
『夢で逢いましょう』 | 藤田宜永 | (小学館) |
『春 嵐』 | ロバート・B・パーカー | (早川書房) |
『巨人たちの落日(上)(中)(下)』 | ケン・フォレット | (ソフトバンク文庫) |
『アンダーワールドUSA (上)(下)』 | ジェームズ・エルロイ | (文藝春秋) |
『下町ロケット』 | 池井戸 潤 | (小学館) |
『ファージング Ⅰ Ⅱ Ⅲ』 | ジョー・ウォルトン | (創元推理文庫) |
『ウルフ・ホール (上)(下)』 | ヒラリー・マンテル | (早川書房) |
『特捜部Q ~檻の中の女~』 | ユッシ・エーズラ・オールソン | (ハヤカワ・ミステリ) |
『二流小説家』 | デイヴィッド・ゴードン | (ハヤカワ・ミステリ) |
『解錠師』 | スティーヴ・ハミルトン | (ハヤカワ・ミステリ) |
[Recommendable Books]
『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2011 JAN.~JUN.>
2011年に観た映画は、劇場で71本、試写会で6本の計77本(テレビ放映、DVDは除く)。そのうちのMY BESTがこれら25本(順番は鑑賞した順)。秀作、佳作が少なくない年だったけれど、2010年は、『アバター』『ミレニアム3部作』『シャネル&ストラヴィンスキー』『インビクタス』『フローズン・リバー』『ハート・ロッカー』『ナイン』『月に囚われた男』『オーケストラ』『プレシャス』『クレージー・ハート』『闇の列車、光の旅』『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』『瞳の奥の秘密』『バーレスク』『シチリア!シチリア!』などインパクトの強い作品が目白押しだったので、前年は超えられなかった印象。邦画は『GANTZ』『プリンセストヨトミ』『アンダルシア』『はやぶさ/HAYABUSA』『ステキな金縛り』など一応は楽しめたが、ランクインはない。日本アカデミー賞の『八月の蝉』は好みじゃなかった。
『デザートフラワー』 | (DESERT FLOWER) | シェリー・ホーマン監督 |
『ソーシャル・ネットワーク』 | (the social network) | デヴィッド・フィンチャー監督 |
『人生万歳!』 | (WHATEVER WORKS) | ウディ・アレン監督 |
『ウッドストックがやってくる!』 | (TAKING WOODSTOCK) | アン・リー監督 |
『ソウル・キッチン』 | (SOUL Kitchen) | ファティ・アキン監督 |
『英国王のスピーチ』 | (The King’s Speech) | トム・フーパー監督 |
『ヒアアフター』 | (HEREAFTER) | クリント・イーストウッド監督 |
『ツーリスト』 | (THE TOURIST) | フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督 |
『ブラック・スワン』 | (BLACK SWAN) | ダーレン・アロノフスキー監督 |
『トゥルー・グリッド』 | (TRUE GRIT) | ジョエル&イーサン・コーエン監督 |
『SUPER 8 スーパーエイト』 | (SUPER 8) | J.J.エイブラムス監督 |
『ラスト・ターゲット』 | (The American) | アントン・コービン監督 |
『トランスフォーマー3 ダークサイドムーン』 | (TRANSFORMERS DARK OF THE MOON) | マイケル・ベイ監督 |
『ゴーストライター』 | (GHOST WRITER) | ロマン・ポランスキー監督 |
『アジョシ』 | (THE MAN FROM NOWHERE) | イ・ジョンボム監督 |
『ミケランジェロの暗号』 | (MEIN BEATER FEIND) | ウォルフガング・ムルンベルガー監督 |
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』 | (RISE OF THE PLANET THE APES) | ルパート・ワイアット監督 |
『カウボーイ&エイリアン』 | (COWBOY & ALIENS) | ジョン・ファブロー監督 |
『ウインターズ・ボーン』 | (WINTER’S BONE) | デブラ・グラニック監督 |
『ミッション:8ミニッツ』 | (SOURCE CODE) | ダンカン・ジョーンズ監督 |
『マネーボール』 | (MONEYBALL) | ベネット・ミラー監督 |
『未来を生きる君たちへ』 | (IN A BETTER WORLD) | スサンネ・ビア監督 |
『クリスマスのその夜に』 | (Home for Christmas =Hjem til Jul) | ベント・ハーメル監督 |
『リアル・スチール』 | (REAL STEEL) | ショーン・レヴィ監督 |
『永遠の僕たち』 | (Restless) | ガス・ヴァン・サント監督 |
[Recommendable Cinemas]
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