中村 浩美 Hiromi Nakamura

<2023年 JAN.~DEC.>

WRITING

『Roar ! 』 <NATO Tiger Meet Golden Jubilee and beyond>

 (Photography by Katsuhiko TOKUNAGA, Text by Col.(ret)Dr. Roland KAUSCHMANN、ホビージャパン・刊、6,000円+税) 

 世界的に活躍する航空写真家・徳永克彦さんの写真集。毎年開催されるNATO最大の航空演習NTM(NATO Tiger Meet)を2011年から取材してきた徳永氏が、その全貌を記録した写真集だ。NTMはNATO各国の空・海軍のタイガー飛行隊が一堂に会し、熾烈な空中演習を繰り広げる一大軍事イベント。各飛行隊は、それぞれの機体にユニークなタイガー特別塗装を施して出場する。この写真集のテキストは、退役ドイツ空軍大佐ローランド・カウシュマン博士が執筆した。そのテキストの翻訳を僕が担当した。特殊な軍事用語が多く、翻訳には苦労したが、勉強にもなった。テキストが英・和文併記のこの写真集は、世界各国で発売されている。

『Nobさんの航空縮尺イラストグラフィティ エトセトラ編2』(下田信夫・著、大日本絵画・刊、3,740円)

 亡くなってもなお、航空ファンに絶大な人気を誇るイラストレーター・漫画家の下田信夫さんの遺稿イラスト集の4巻目。Nobさん(下田さん)とはデビュー当時から親交があり、個人的にも友人だった僕は、この遺稿集に毎巻寄稿している。今回は「僕が観たNobさんのヒコーキ・ワールド」と題して、Nobさんとの想い出や、Nobさんの作品の魅力、制作秘話などを綴った一文を寄せた。

『Nobさんの航空縮尺イラストグラフィティ エキストラ編2』のカバーと、僕の寄稿ページ

NPO・HASMの会報「羽田の青い空」106号

 

 NPO・HASMの会報「羽田の青い空」106号の思い出のフライトのコーナーに、『チャーター機でNASA周遊』を寄稿した。1983年にエア・ワン(Air 1、オーナーは元・宇宙飛行士のユージン・サーナン氏)のチャーター用機ボーイング727‐100で、NASAの3大宇宙施設KSC(ケネディ宇宙センター)、MSFC(マーシャル宇宙飛行センター)、JSC(ジョンソン宇宙センター)を巡った想い出を綴ったもの。宇宙施設の見学はもちろんのこと、アポロ計画の宇宙飛行士サーナン氏をはじめ、スペースシャトルの宇宙飛行士ジョー・エングル氏、エリソン・オニヅカ氏との面談など、今も新鮮な印象が残る貴重な出会いの旅でもあった。

『羽田の青い空』掲載の「チャーター機でNASA周遊」の全6ページの一部

『羽田空港アーカイブス 1931-2023』(Tokyo International Airport写真集、徳間書店・刊、3,500円+税)

 羽田(東京国際)空港の開港から現在までを、貴重な写真資料でまとめた写真集。この編集監修は、NPO・HASM(理事長・中村浩美)のスタッフが担当した。僕も羽田空港での想い出に関する小文を寄せている。この写真集の出版に呼応して、日本空港ビルデング70周年記念展として「History of HANEDA 羽田空港が、見てきた風景。」と題する展示会が、5月1日~12月21日に、羽田空港第1ターミナル5階の特設会場で開催された。この展示の監修もNPO・HASMのスタッフが行なった。

写真集『羽田空港アーカイブ 1931-2023』のカバーと、僕の寄稿ページ

エネルギー・フォーラムETT(フォーラム・エネルギーを考える)

 僕がメンバーになっているエネルギー・フォーラムETT(フォーラム・エネルギーを考える)のホームページ「私はこう思う!」のコーナーに、『水素社会の実現に向けて』を寄稿。僕が居住している山梨県は、エネルギーとしての水素利用の研究開発、実証実験の先進県と自負している。「世界に先駆けて水素社会を実現知るモデル都市の形成を目指す」と、意欲的だ。その山梨県の取り組みの紹介と、水素社会実現のための課題と期待を綴ったもの。

NPO・HASM会報『羽田の青い空』109号

 NPO・HASMの会報『羽田の青い空』109号に、「河口湖飛行舘」訪問記を寄稿。EVENTの項にある、毎年8月1か月だけ開館する航空博物館のリポート。復元作業中の「彩雲」の現況や、原田信雄館長との面談の様子などを報告した。

EVENT

『羽田空港 空の日フェスティバル』 <電動ヒコーキ操縦体験会>

僕が理事長を務めているNPO・HASM(羽田航空博物館プロジェクト:羽田航空宇宙科学館推進会議)は、コロナ禍で休止を余儀なくされていたが4年ぶりに復活した『羽田空港 空の日フェスティバル2023』(9月30日)に参加、<電動ヒコーキ操縦体験会>を、羽田空港第1ターミナル2Fのマーケットプレイスで開催した。HASMが開発した電動コントロール、テザー付きヒコーキのフライト体験だ。3時間強の開催時間だったけれど、250名ほどの子供さんたちが、フライトを楽しんでくれた。体験してくれた参加者には、理事長の署名入りの「操縦認定書」がプレゼントされた。

「羽田空港 空の日フェスティバル2023」で開催した<電動ヒコーキフライト体験会>

(羽田空港第1ターミナル マーケットプレイス)

『河口湖飛行舘』 (KAWAGUTIKO AIR MUSEUM)訪問

 毎年真夏の8月だけ開館する「河口湖飛行舘」(山梨県鳴沢村富士桜高原)を、今年も訪問。入り口を入ると、まず復元された1式戦闘機「隼」Ⅰ型とⅡ型が空中と地上のペア展示で迎えてくれる。これら「隼」と、艦上戦闘機「零戦」52型、21型の展示は昨年と同様。いずれもこの飛行舘で復元されたものだ。そして今年の焦点は復元作業が進む艦上偵察機「彩雲」だ。昨年までの尾部、尾翼の復元に加えて、今年は前部胴体、キャノピーの復元まで進行していた。とても美しい仕上がりだった。久しぶりに原田信雄館長と懇談の時間も持てて、有意義な訪問となった。来年にはエンジンの搭載を実現したいとのことだったが、エンジン・マウントの製作が難作業になるだろうと、原田館長は語る。飛行舘では「彩雲」用の「誉」エンジン(2,000馬力)を所有しており、これを整備・復元して搭載する予定だ。世界に現存する「彩雲」は、ここ飛行舘とアメリカのNASM(国立航空宇宙博物館;スミソニアン協会、ワシントンDC)所蔵の2機のみだ。しかも公開されているのはここだけという、貴重な存在。来年も復元作業の進捗を観るのが楽しみだ。

『第7回羽田航空博物館展 in HI City』  “YS-11 世界を翔けた日本の翼”

 恒例となったNPO・HASMの展示会「羽田航空博物館展」は、今年で7回目を迎え、東京モノレール天空橋駅に隣接する「羽田イノベーションシティ」(HI City)の、ゾーンK2階ギャラリーで開催された(10月22日~28日)。今年のテーマは「YS-11 世界を翔けた日本の翼」。国内はもちろんのこと世界で活躍した、戦後初の国産旅客機YS-11の写真パネル、プロペラ、スケールモデル、関係史料などを展示した。HASMで保管している、故・斎藤茂太先生のエアライン・バッグ・コレクションの一部も公開した。僕は日本各地で撮影したYS-11の写真と、YS-11のラスト・フライト:最終定期便に搭乗した際の、記念品や搭乗券を額装したパネルを出品した。1週間の開催だったが、1,000人の来場者があった。

『第7回羽田航空博物館展 in HI City』  今回のテーマは「YS-11 世界を翔けた日本の翼」

『僕の交書録』 <BOOKS MY BEST 2023 JUL.~DEC.>

 2023年の読書歴は、新刊購入が77冊、贈呈いただいたのが4冊、蔵書の再読が25冊。本専用の倉庫に預けてある蔵書の一部を回収し始めたので、再読が例年よりも増えた。主に1970年代~90年代に出版された、光瀬龍、半村良、アイザック・アシモフの作品を中心に再読した。倉庫に預けてある本は、これから順次回収して行くつもりだ(終活ですね)。新刊書の中で、特に交書を楽しんだのが以下の39作品45冊(順不同)。相変わらずミステリーが多い。英・米・仏そして北欧のミステリーが快調だ。2023年のベストスリーは、『グレート・サークル』『その昔、ハリウッドで』『文明交錯』。それぞれに極めてユニークな作品だった。

[Fiction]
『忘れられた少女』(上・下)カリン・スローターハーパーBOOKS
『暗闇のサラ』カリン・スローターハーパーBOOKS
『白夜に沈む死』(上・下)オリヴィエ・トリック創元推理文庫
『地図と拳』小川 哲集英社
『嘘と聖域』ロバート・ベイリー小学館文庫
『鏡の男』(上・下)ラーシュ・ケプレル扶桑社文庫
『だからダスティンは死んだ』ピーター・スワンソン創元推理文庫
『急斜面』アンドレアス・フェーア小学館文庫
『頬に哀しみを刻め』S・A・コスビーハーパーBOOKS
『警部ヴィスティング 疑念』ヨルン・リーエル・ホルスト小学館文庫
『哀惜』アン・クリーヴスハヤカワ・ミステリ文庫
『文明交錯』ローラン・ビネ東京創元社
『街と不確かな壁』村上春樹新潮社
『スウェーディッシュ・ブーツ』ヘニング・マンケル東京創元社
『幼き者の殺人』 J・D・ロブmira books
『232番目の少女』 J・D・ロブmira books
『ヴァイオレットだけが知っている』メリーナ・マーケッタ創元推理文庫
『三年間の陥穽』(上・下)アンデシュ・ルースルンドハヤカワ・ミステリ文庫
『警視の慟哭』デボラ・クロンビー講談社文庫
『ダーク・アワーズ』マイクル・コナリー講談社文庫
『その手を離すのは、私』クレア・マッキントッシュ小学館文庫
『その昔、ハリウッドで』クエンティン・タランティーノ文藝春秋
『彼が残した最後の言葉』ローラ・デイヴ早川書房
『謀略のカンバス』ダニエル・シルヴァハーパーBOOKS
『血塗られた一月』アラン・パークスハヤカワ・ミステリ文庫
『闇夜に惑う二月』アラン・パークスハヤカワ・ミステリ文庫
『二度死んだ女』レイフ・GW・ペーション創元推理文庫
『陽炎の市』ドン・ウィンズロウハーパーBOOKS
『ハリウッドの悪魔』ジョッシュ・ワイス早川書房
『特捜部Q カールの罪状』ユッシ・エーズラ・オールスンハヤカワ・ミステリ
『正義の弧』(上・下)マイクル・コナリー講談社文庫
『ルクレツィアの肖像』マギー・オファーレル新潮クレストブックス
『恐るべき太陽』ミシェル・ビュッシ集英社文庫
『愚者の街』(上・下)ロス・トーマス新潮文庫
『グレート・サークル』マギー・シプステッド早川書房
『処刑台広場の女』マーティン・エドワーズハヤカワ・ミステリ文庫
『姉妹殺し』ベルナール・ミニエハーパーBOOKS
『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴンハヤカワ・ミステリ文庫
『ザ・マッチ』ハーラン・コーベン小学館文庫
『ネヴァー・ゲーム』(上・下)ジェフリー・ディーヴァー文春文庫

『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2023 JAN.~DEC.>

 2023年における映画の劇場鑑賞は、わずかに12本と超低調。TVやオンデマンドでは、かなりの本数を観ているけれど、映画館で観たのはこれだけ。その数少ない中で、印象に残ったのが以下の5作品だ。

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(Ennio)ジュゼッペ・トルナトーレ監督
『イニシェリン島の精霊』(The BANSHEES of INISHERIN)マーティン・マクドナー監督
『バビロン』(BABYLON)ディミアン・チャゼル監督
『ロスト・キング 500年越しの運命』(The Lost King)スティーブン・フリアーズ監督
『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』(QT8:The First Eight)タラ・ウッド監督

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