中村 浩美 Hiromi Nakamura

<2007年>

TRAVEL

<ANGKOR/Cambodia> (Nov.)

 11月1日、日本に初就航(スケジュールチャーター)したカンボジアのアンコール航空の第1便で、関西空港から遺跡の町シェムリアップへ。世界遺産のアンコール遺跡を巡った。クメール建築の傑作と讃えられる寺院アンコールワットの壮大さに、まず圧倒された。城塞都市アンコールトムでは、バイヨンの回廊に刻まれたレリーフと、四面仏塔の菩薩の慈悲深い笑みが印象的だった。
 赤色砂岩に刻まれた彫像や紋様のレリーフが素晴らしい、バンテアイスレイを始め、プリヤカーン、プレループ、バンテアイクディ、ニャックポアンなどの周辺の遺跡群も、強く印象に残った。圧巻は霊廟寺院のタプロム。巨大な樹木(スポアン)が、建物にのしかかり、絡みつき、太い根を張っている。異様な光景だった。アンコールの遺跡群は、砂岩で作られているため脆く、また酸性雨などの影響もあって、危機的な状況にあることも実感した。

WRITING Books & Article

【出版プロデュース】
『試練が人を磨く 桑田真澄という生き方』(桑田真澄・著 扶桑社文庫 552円+税)

 1995年に出版プロデュース(企画・取材・構成)した単行本が文庫化された。この文庫出版のために、アメリカへ行き、ピッツバーグで桑田選手と3日間面談。それは偶然、桑田選手にとってはメジャーリーグ・パイレーツでの最後の3日間に当たった。最終登板、戦力外通告(退団)、球場PNCパークのロッカー整理という3日間だった。文庫版で増補した巻頭の12頁は、そのときの桑田選手の心境を、ピッツバーグで綴ったもの。桑田選手はパイレーツを退団したが現役続行を表明、9月に足首の手術を受けた。アスリート桑田真澄の野球にかける熱い想いを、この本で受け取ってほしいと思う。

桑田選手から贈られたサイン入りボール

【共著】 徳永克彦+中村浩美
『FLIGHT DECK OPERATIONS 空母キティホークと飛行甲板要員たち』
(メディアワークス 3,800円+税)

 昨年11月に、米空母「キティホーク」に1週間乗艦取材した成果が、やっと出版された。世界的に活躍する航空写真家・徳永克彦氏とのコラボレーション。キティホークのフライトデッキ・オペレーション(飛行甲板運用)の全貌を、徳永氏の迫力に満ちた写真と、僕の文章でリポートしたもの。乗艦記「この目で観た空母キティホーク」、インタビュー「キティホーク・トップスリーに聴く」、飛行甲板クルーへのインタビューと運用の解説「FLIGHT DECK OPERATION」を執筆。徳永氏による戦闘攻撃機スーパーホーネットに同乗しての空撮を含む、他の追随を許さない写真の数々と、提督から水兵に至るまでのインタビューがセールスポイント!

 雑誌関係では、『DIME』(07号、小学館)の特集「07年航空会社第3次サービス合戦勃発!」。トラベルライターの緒方信一郎氏と、蝶タイブラザーズを結成、成田空港航空各社のラウンジリニューアル競争と、ファースト、ビジネスクラスの最新シートをリポート。『船の旅』4月号と、HASMの機関誌「羽田の青い空」に、斎藤茂太会長の追悼エッセイを執筆など。

TRAVEL & COVER

<PITTSBURGH> (Aug.)

 文庫版『試練が人を磨く 桑田真澄という生き方』プロデュースのため、ペンシルバニア州ピッツバーグへ。桑田選手と3日間面談。かつては鉄鋼の町として知られたピッツバーグだが、現在ではビジネスとアートの町。劇場やコンサートホールが目立つ。スリーリバーズ(オハイオ川、アルゲニー川、マノンガヘイラ川)に囲まれた、美しい自然にあふれた町でもある。桑田選手が所属した、メジャーリーグの名門ピッツバーグ・パイレーツの本拠地「PNCパーク」は、ダウンタウンから徒歩わずかに5分という、抜群のロケーションにあった。

<SEATTLE> (July) B787 Dreamliner Premiere

 21世紀型旅客機ボーイング787ドリームライナーが、7月8日にロールアウト(工場から引き出されお披露目)。エヴァレット工場で行なわれた、そのプレミア・セレモニーに招かれシアトルへ。複合材料を多用した革新的ボディなどで、省エネと省コストを実現した最新旅客機。その35パーセントは日本製だ。ロールアウト当日までに、677機という史上空前のオーダーを得ていた。これは通常なら10年以上かかるオーダー。それを初飛行前の時点で受けるという、驚異的なベストセラーを実現した。来春、全日空で世界初の就航が予定されている。

PASSAGES Couverts Parisiens

 パリ旅行の愉しみは、パサージュ、ギャルリ散策。18世紀末に出現した、ガラス張りの屋根付きの遊歩空間、商店街。近年になってその存在が見直され、再建や修復が行なわれている。最盛期には40ヶ所もあったというが、現存する歴史的なパサージュやギャルリは20ヶ所に満たない。それを03年、05年そして今年ですべて巡り、写真に収めた。さらに新設の大小パサージュも数ヶ所発見、実り多い散策となった。一応僕が記録したパサージュ、ギャルリは、計26ヶ所に達した。パサージュはもともと通路、抜け道の意味だが、今回は屋根付きではない、ビュット・オ・カイユのパサージュ・バロールや、クール・デュ・コメルス・サンタンドレなど、本来の遊歩空間であるパサージュも散策。

Le Pendule de FOUCAULT

 今回のパリ滞在には、もう一つ目的があった。それは、フーコーにゆかりの場所を訪ねることだった。フーコーとは、フーコーの振り子で知られるレオン・フーコーのことだ。まずリュクサンブール公園にほど近い、ダサス通りとヴォージラール通りの角に建つフーコーの家。母親と住んだこの自宅が、今もそのまま残され使われている。この建物の壁面は2枚のレリーフで飾られている。ダサス通り側には振り子のレリーフがあり、ヴォージラール通り側にはフーコーの略歴と業績を刻んでいる。
 次に訪れたのがパンテオン。ここでフーコーが行なった振り子実験が、再現されている。高いドーム天井から吊るされた振り子は、今もゆっくりと回転を繰り返している。最後にサンマルタン・デ・シャンへ。このロマネスク聖堂は、技術工芸博物館の展示室になっている。ここに実物のフーコーの振り子が展示されており、また振り子実験の様子も再現されている。ゆっくりと揺れる振り子を眺めながら、地球の自転を証明した、19世紀の偉大な物理学者を偲んだ。

TV & Radio

 昨年から今年にかけて収録した「中村浩美のエネルギッシュトーク」(青森テレビ制作)が、4月からCSサイエンス・チャンネルでオンエア。原子力がテーマの6回シリーズの対談番組で、キャスターを務めた。現在リピート放映中。
 2月、フジテレビ「めざましテレビ」で情報収集衛星についてコメント。3月、全日空ボンバルディアDHC-8高知空港に胴体着陸。テレビ朝日「ワイド!スクランブル」「スーパーモーニング」出演。5月、TBSラジオ「こちら山中デスクです」出演。8月、チャイナ・エアラインズB737-800那覇空港で炎上。テレビ朝日「ワイド!スクランブル」「Jチャンネル」「スーパーモーニング」出演のほか、RKBラジオ、読売テレビ、ニッポン放送でコメント。
 初のテレビコマーシャル契約。北海道電力の意見広告TVCM(30秒CM3本)に出演。10月からオンエア開始。同時に新聞広告、ポスターでも露出。

STAGE <Lecture,Symposium &Talk Show>

 12年目になった出前科学教室「親子で学ぶサイエンススクール」。今年は7月に、気象予報士の森田正光さんをゲスト講師に迎え静岡市で、続いて9月に長野県原村で開催。他に親子を対象にしたイベントでは、一昨年、昨年に続いて12月に東京で「電気のふるさとファミリーフォーラム」が予定されている(首都圏エネルギー懇談会主催)。

 講演は、3月に四日市市、7月長野市、9月掛川市、11月越谷市で。いずれも内外情勢調査会の主催で、テーマは『宇宙から考える、地球環境とエネルギー』。その他、6月に山形市でサイエンスリテラシー、11月に東京で旅客機をテーマに講演会。10月には福島県大熊町で高校生対象、12月には尼崎市で女性層対象に講演イベントが予定されている。また5月には東京工業大学の科学技術コミュニケーション論・公開セミナーで、講演および鳥井弘之教授との対談を行なった。
 シンポジウムは、いずれも原子力、エネルギー関係がテーマ。コーディネーターを務めたのが、3月と9月御前崎市での「プルサーマル・シンポジウム」、3月高知県東洋町での「地層処分シンポジウム」、珍しいテーマでは、2月に東京で「災害低減フォーラム」。パネリストとして登壇したのが、8月原子力学会・SNW主催、9月原子力研究開発機構主催のパネルディスカッション。11月には電力中央研究所主催のPDが予定されている。

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