中村 浩美 Hiromi Nakamura

<2006年 JAN.~MAR.>

TRAVEL Hawaii (Feb.)  <Sentimental Journey>

 2006年のトピックは、まず1月から東京工業大学統合研究院の特任教授になったこと。ソリューション研究がテーマだが、まだ研究らしい研究はしていない。続いて2月には、ついに50歳代とお別れ。つまり還暦。そこで、久しぶりにハワイへ休暇旅行。マウイ島カアナパリに滞在。アクティビティは、ホエール・ウオッチングのみ。あとは終日プールサイドでの読書や、ビーチやホエラーズ・ヴィレッジ、ラハイナの街の散歩で過ごす。のんびりできたのは良かったけれど、やはり50歳代との別れが気になって、結局はセンチメンタル・ジャーニーになってしまった。
 レトロなエアライン・ポスターを入手できたのが、旅の収穫。でも、もちろんリプリント。オリジナルは、例えばベルナール・ヴィルモ作のエールフランスのポスター(1950年代)など1,000ドルもするので、とても手が出なかった。

ハワイで手に入れたエアラインのレトロポスター

WRITING Article & Interview

 元日付けの北海道新聞別刷りに、「頼れる北のローカル便拠点」を執筆。札幌の丘珠空港が就航50周年を迎えた特集の巻頭記事となった。インタビューのテーマは、話題の民間宇宙旅行商品以外には、やはりJALやスカイマークの整備ミス関係が多く、読売新聞や日刊ゲンダイにコメントが多数掲載された。

STAGE Lecture,Symposium & Talk Show

 2005年後半のシンポジウムや講演会は、バラエティに富んだテーマだったけれど、2006年はエネルギー関係一色で始まった。わが国のエネルギー政策の柱である、核燃料サイクル・プルサーマル計画が重要な時期にあるため、原子力関係の依頼が多い。1月は松山市で資源エネルギー庁主催の「エネルギー講演会」、2月は山口市でシンポジウム「エネルギーの未来を考える」(主催・ETT)、秋田市で「環境・エネルギー・フォーラム」(主催・東北電力)に登壇。3月は姫路市で「21世紀の放射線利用について」(主催・原子力委員会市民参加懇談会)、岩手県の久慈市と宮古市で「再処理工場説明会」(主催・日本原燃)。いずれも討論、質疑のコーディネーターを務めた。

TV

 3月16日に、新しい北九州空港がオープンし、これに合わせて新規参入エアライン、スターフライヤーがデビューした。ボディをブラックで塗装するなど、デザインを重視した統一コンセプトを全面に出した、ユニークな登場となった。
 TBSテレビの「イブニング・ファイブ」の特集『スターフライヤー初就航!』に出演。新規参入エアラインの今後や、北九州空港についてコメントした。  

<2006年 APR.OCT.>

WRITING Books & Article

 国内の旅客輸送から、国産旅客機YS-11が引退することになり、その記念と惜別がきっかけとなって執筆の機会が与えられた。5月と6月を集中的に執筆に当て、祥伝社新書から『YS-11 世界を翔けた日本の翼』、朝日新聞社から『YS-11 栄光の翼』(アサヒDVDブック)を、8月と9月に相次いで出版することができた。また1年がかりで企画していた、小学館のフォト絵本『ひこうき』も、8月に出版された。いずれの著書も、畏友の写真家・青木勝氏との共同作業となった。

『YS-11 世界を翔けた日本の翼』
『YS-11 栄光の翼』
フォト絵本『ひこうき』

 東京新聞/中日新聞の「自著を語る」の欄に、『YS-11 世界を翔けた日本の翼』について執筆。YS-11の主任設計者だった、故・木村秀政先生への惜別の想いが、僕にこの本を書かせたと思う。私淑していたその木村先生の想い出に、引退するYS-11への惜別の想いを重ねて綴った。

東京新聞/中日新聞「自著を語る」

 珍しい原稿も書いた。雑誌「ジャズ批評」の特集『私の好きな一枚のジャズ・レコード2006』。各界のジャズファン90人が、お気に入りのジャズ・レコードを紹介する企画で、僕は懐かしいスリー・ブラインド・マイス・レーベルの一枚について書いた。JTWOの仲間でもあるジャズ評論家の岩浪洋三さんの推薦で、場違いな誌面に執筆した次第。

TRAVEL<YS-11 LAST FLIGHT>

 9月30日、日本航空機製造YS-11が国内の旅客輸送から引退した。初就航から41年目のことだった。自衛隊や海上保安庁では、YS-11はまだ活躍を続けるが、旅客を乗せて日本の空を飛ぶことはもうない。その引退に先立って、4月30日に離島線定期便のラストフライトが行なわれた。日本エアコミューターの鹿児島~種子島線が、最後の離島線定期便となった。このフライトに鹿児島~種子島、種子島~鹿児島を完乗し、おまけに翌日には鹿児島~福岡もYS-11で飛んで別れを告げた。その搭乗記は、上記の2冊の著書『YS-11 栄光の翼』と『YS-11 世界を翔けた日本の翼』に収められた。

 YS-11への惜別の想いに誘われて、青森出張の機会に、「みちのく北方漁船博物館」に保存され屋外展示されているJAS塗装のJA8809を見学(9月9日)。また埼玉県所沢市の「所沢航空発祥記念館」が保存している、エアーニッポン塗装のJA8732を、JTWO飛行機研究会の面々とともに訪ねた(9月21日)。これからも、各地に保存されているYS-11を訪ねる旅は続くことだろう。

 今年の旅行は国内が多く、南から種子島、鹿児島、福岡、松山(2回)、伊方町、松江、岐阜、静岡、郡山、山形、青森(2回)、六ヶ所村、東通村、札幌(2回)、旭川の各地を訪れている。いずれも講演会やシンポジウムなどの出張ばかりだが、時間を見つけては景勝地や博物館・美術館などの文化施設を訪問している。特に印象的だったのは、島根県斐川町の荒神谷遺跡と、青森県立美術館の「シャガール・アレコとアメリカ亡命時代」展だった。
 バレー「アレコ」の巨大な背景画4点が一堂に会した、シャガール展(うち3点は青森県の所蔵!)も素晴らしかったが、荒神谷遺跡はさらに興味深かった。青銅器文化の空白地帯といわれていた出雲で、358本という空前絶後の大量の銅剣が発見されたのがこの遺跡である。1984年のことだった。翌年にはそのすぐ横から、銅矛16本、銅鐸6個も発見されている。その出土状況を示す遺跡の光景はミステリアスで、古代史へのロマンをかきたててくれた。

STAGE <Lecture, Symposium & Talk Show>

夏休み恒例の「親子で学ぶサイエンススクール」を、7月30日に静岡市のグランシップ(主催・静岡県文化財団)で開催。今年はヒサ・クニヒコ氏を講師に迎えての、『恐竜のなぞと不思議』がテーマ。ヒサさんの軽妙なお話と、迫力あるイラストを、約500人の親子が楽しみながら勉強してくれた。
 航空・宇宙関係のイベントでの登壇は、市民シンポジウム「羽田から東京が変わる!」(6月25日、主催・羽田跡地利用推進会議他)と、「飛び出せ!郡山から宇宙へ!~宇宙開拓の未来~」(10月1日、主催・郡山市、郡山市ふれあい科学館他)。郡山のイベントは、郡山市ふれあい科学館スペースパーク開館5周年記念事業のパネルディスカッション。名誉館長の松本零士、登山家の田部井淳子、レポーターの竹内海南江、JAXAの柳川孝二の各氏とともに、郡山の子どもたちに宇宙開発の夢を語った。

 その他の講演会、シンポジウムは、いずれもエネルギー(特に原子力)と地球環境がテーマ。講演会は岐阜商工会議所婦人部会の招きで、「宇宙から考える地球環境とエネルギー」を講演(7月4日、岐阜市)。シンポジウム・討論会のテーマは、ほとんどが原子力発電のプルサーマル計画。愛媛県伊方町(6月4日、主催・経済産業省)、松山市(7月23日、主催・愛媛県)、島根県松江市(8月20日、主催・松江市)と続いた。その他のシンポジウム・フォーラムも、原子力を中心にしたエネルギーがテーマ。札幌市で「市民参加懇談会」(9月29日、主催・原子力委員会)、同じく「日本のエネルギー、これからの原子力」(10月11日、主催・ETT)。いずれもコーディネーターを務めた。

TV & Radio

 浜尾朱美さんがキャスターを務める、神奈川テレビ(TVK)「ニッポン早わかり」に今期も出演(オンエア5月13日)。今回は、スタートしたばかりの第3期科学技術基本計画について解説。YS-11の引退関係では、RKB毎日ラジオ(9月26日)と、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」(9月30日)に出演。YS-11の位置づけや、日本の航空工業の現状について解説した。
 キャスターとしては、青森テレビ制作の「中村浩美のエネルギッシュトーク」6本シリーズのうち3本を収録(オンエアはサイエンスチャンネルで来年から)。エネルギーと地球環境をテーマにした対談番組で、茅陽一東大名誉教授、内山洋司筑波大教授、田中知東大教授の各氏をゲストに迎えてトークを展開した。

TRAVEL

NOV. <米空母「キティホーク」取材>

アメリカ海軍の空母「キティホーク」に、1週間にわたって乗艦し、取材してきた。厚木基地からC‐2Aグレイハウンドで2時間半飛行し、硫黄島の西海域で演習中の「キティホーク」に着艦。フックランディングを初体験した。それから1週間にわたって、フィリピン海の北方海域を遊弋しながら訓練 航海を続ける艦上で、取材を行なった。復路は、沖縄本島の西海域から、やはりC-2でカタパルト発艦(!)し、嘉手納基地へ。カタパルト発艦の体験は、衝撃的だった。かつて米空軍のF-15イーグルに、同乗取材した経験があるが、艦載機はまったく違う。改めて海軍/海兵隊のパイロットの凄さを実感!
 第7艦隊戦闘部隊司令官ダグ・マックレイン少将、キティホーク艦長エド・マックナミー大佐、第5空母航空団司令官マイク・マクネリス大佐をはじめ、計50人の将兵にインタビューを敢行、空母「キティホーク」のフライトデッキ・オペレーション(飛行甲板運用)の全貌を取材することができた。これは、国際的に活躍する写真家・徳永克彦氏との共同取材で、その成果は2007年春に出版の予定。
 僕がこの目で観た、F/A-18ホーネット、スーパーホーネットによる、フライトデッキ・オペレーションの一端をご覧ください。

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