中村 浩美 Hiromi Nakamura

<2016年 JAN.~JUN.>

出版プロデュース

『挑む力 桑田真澄の生き方』(集英社文庫 4月25日刊 580円+税)

 集英社文庫の「挑む力 桑田真澄の生き方」(桑田真澄・著)を、出版プロデユース(企画・構成)。久しぶりに桑田真澄さんとのコラボレーション。2011年にポプラ社から刊行された『野球の神様がくれたもの』を改題し、大幅な加筆修正と再編集を行なったもの。桑田さんの本のプロデユースは、1995年に扶桑社から刊行された『試練が人を磨く 桑田真澄という生き方』以来、これが4冊目。

WRITING

『AVIATORS追悼録私抄(アート・ショール)』の掲載頁。(全11頁の一部)

 HASM(羽田航空宇宙科学館推進会議)の機関誌「羽田の青い空」に、昨年から連載を始めた『AVIATORS 追悼録私抄』の2回目(第78号)と3回目(第79号)を執筆。交友があった海外の航空人の人物像と業績、そして個人的な想い出をつづったボク流の追悼録。2回目はアート・ショール、3回目はレイ・ハンナ。アート・ショールは、エアショーの花形エアロバテイックス・パフォーマー、映画、テレビのスタントパイロットとして、アメリカの航空エンターテインメント界に大きな足跡を残した。レイ・ハンナは、英国空軍エアロバティックス・チーム「レッド・アローズ」の元リーダーで、ヴィンテージ・プレーン・スタントパイロット、エアショー・パフォーマーとしても知られた名パイロットだった。
 その他では、ETT(フォーラム・エネルギーを考える)のHP、「私はこう思う!」のコーナーに『インフラ輸出競争と原子力』を、「高速道路と自動車」(高速道路調査会)誌2月号に、エッセイ『セカンドハウスと高速道路』を執筆。

『AVIATORS 追悼録私抄(レイ・ハンナ)』の掲載頁。(全12頁の一部)

 COVERAGE

<RED BULL AIR RACE>

 昨年に引き続き、「レッドブル・エアレース」(RED BULL AIR RACE World Championship CHIBA 2016)が、千葉市美浜区の海浜幕張公園に面した特設空域コースで開催された。ピットハンガーと離着陸用の臨時エアポートは、昨年同様に浦安市の総合公園護岸エリアに設営された(表彰式のステージも)。6月2日、3日は浦安で各ピットの準備状況と調整フライトの様子を取材。4日の予選は悪天候のためキャンセルされ、5日の本戦レースが一発勝負となった。
 マスタークラスで唯一の日本人パイロット、室屋義秀さんは、Round of 14、Round of 8を順調に勝ち抜き(ライバルたちのオーバーG失格にも助けられたが)、決勝レースFinal 4に進んだ。2番手でスタートした室屋さんは1分04秒992の好タイムでフィニッシュ、ナイジェル・ラム(英)を抜いて3位以上確定。続くカービー・チャンブリス(米)は室屋さんのタイムを破れず、室屋さんの2位以上が確定。残るはマルティン・ソンカ(チェコ)。序盤はソンカがややリードしたが、ラストのヴァーティカルターンを慎重にいき過ぎ、わずか0秒105室屋さんのタイムに及ばず、室屋さんの初優勝が決まった。待望の歓喜の瞬間だった。レース会場の5万人の観客も、浦安のパブリックビューイング会場の観客も大興奮で、室屋さんの初優勝を祝った。僕もパブリックビューイングで、この歓喜の瞬間を味わった。浦安の表彰ステージで、室屋さんは最高のシャンパンシャワーを浴びた。昨年はオーバーGで涙を飲んだ室屋さんだったが、今年は福島で入念なプラクティスを重ね、万全の体制で臨んだ結果の歴史的な初優勝だった。

室屋さん歓喜の表彰式、シャンパンシャワー(浦安で行なわれた表彰式で)  

<Photo: RED BULL AIR RACE>

<EXHIBITION LOUIS VUITTON Tokyo Kioicho>

 世界的なトランク、バッグの超有名ブランド「ルイ・ヴィトン」のエキシビション「VOLEZ VOGUEZ VOYAGEZ」が、パリに続いて東京・紀尾井町の特設会場で、4月23日から6月19日まで開催された。自動車の旅(それ以前は馬車の旅)、列車の旅、船旅、そして飛行機による空の旅、ルイ・ヴィトンのトランク、バッグは常に旅と共にあり続けている。1906年のトランクから、最新のバッグ・コレクションまで、ルイ・ヴィトン製品が一堂に会したこのエキシビションは、さすがに圧巻だった。
どんなスペシャルオーダーにも応えることで有名なルイ・ヴィトン。ドレス、シャツ、帽子、靴、化粧品など専用のトランクは知っていたが、絵画専用、レコード専用、ヴァイオリンなど楽器専用、エンサイクロペディア専用、本箱専用、簡易デスク専用、靴磨きセット専用、工具専用、キャンプ用品専用、食事セット専用、コーヒーセット専用、ウイスキーセット専用などなど、多彩なデザインのケース、トランクに驚かされた。飛行機屋としては、1910年にピエール・ヴィトンが設計したという、航空機(ヘリコプタ)ルイ・ヴィトンⅢの模型が珍しかった!

<中部電力・浜岡原子力発電所視察>

 中部電力の浜岡原子力発電所で、安全対策の現況を視察した(6月29日)。浜岡原子力発電所は、震災前から最新の知見を反映した安全性向上対策を行なってきたことで知られる。東京電力福島第一原子力発電所の事故以降も、津波対策や重大事故対策を自主的に推進するとともに、新規制基準に対応した追加対策に取り組んでいる。その実態をつぶさに見ることができた。取り組みの中で最も印象的だったのが、津波を敷地内に侵入させない対策だった。東西の改良盛土に両翼を守られた、防波壁の陣容が圧巻だった。総延長約1.6㎞、防波壁の高さは海抜22mである。最大クラスの巨大津波に対しても、発電所敷地内への浸水を防ぐことができるという。防波壁の構造は、岩盤の中から立ち上げた鉄筋コンクリート造りの基礎の上に、鋼構造と鉄骨・鉄筋コンクリートの複合構造からなるL型の壁を結合、地震や津波に強い構造になっている。

『僕の交書録』 <BOOKS MY BEST 2016 JAN.~JUN.>

 2016年上半期の交書録は、新刊購入が43冊、贈呈いただいた本が5冊、再読したのが4冊の計52冊。昨年よりは少し多いペースだ。年間100冊に届くかどうかというところ。洋書、専門書を除いた今期のマイベストは、以下の20作品27冊(順番は読んだ順)。
 作家の訃報が続く。2月にウンベルト・エーコ、『アラバマ物語』のハーパー・リーの訃報。エーコの集大成と評される『プラハの墓地』が3月に出て、味わいながら読んだ。昨年訃報が届いたヘニング・マンケルの『霜の降る前に』も、これがシリーズの最後かなと思いながら読んだ。6月にはアルビン・トフラーの訃報。『第三の波』を読んだ時の衝撃を思い出す。
 ケン・フォレットの「百年三部作」が、『巨人たちの落日』『凍てつく世界』に続く『永遠の始まり』4巻、計11巻で完結した。『永遠の始まり』は1961年~2008年の、英・独・米・ロが舞台。リアルタイムで知っている時代だけに、その前の作品よりも興味深かった。年代記といえばジェフリー・アーチャーの「クリフトン年代記」。第5部『剣より強し』が出た。時代背景は1964年~1970年。構想が拡大し全7部になることが明かされた。まだまだ楽しめる
 ご贔屓のウエルベック、コナリー、オコンネル、テオリン、ルへイン、エルロイは快調、期待を裏切らない。ジェームズ・エルロイの『背信の都』は、「新・暗黒のLA四部作」の第1作とのこと。時代は日米開戦時期だ。新しいノワール・クロニクルに期待大だ。衝撃的だったのは、柴田元幸さんが現代アメリカ文学最重要作家の一人と推す、スティーヴ・エリクソンの『ゼロヴィル』との出会い。映画ファンなら絶賛の一作。今年下半期は、エリクソンの旧作を探すことになりそうだ。最も癒されたのは、ガブリエル・ゼヴィンの『書店主フィクリーの物語』だった。本屋大賞受賞も納得だ。
 ここ数年は日本人作家を読むことが少ない僕だけれど、例外は原田マハさん。新作が出るたびに愛読している。『暗幕のゲルニカ』も良かった。直木賞を逃したのは残念だけれど、受賞は時間の問題だろう。
『その姿の消し方』で初めて出会った堀江敏幸さんは、フランス文学者。不思議な味わいの作品だった。
 建築家レム・コールハースの『錯乱のニューヨーク』は、超ユニークな建築論・都市論のロングセラー。すっかり傾倒して、次作の『S,M,L,XL』も読んでみたけれど、僕にはタイトルも内容も難解すぎた。

[ Non Fiction ]

『錯乱のニューヨーク』レム・コールハース(ちくま学芸文庫)
『我が詩的自伝 素手で焔をつかみとれ!』吉増剛造(講談社現代新書)

[Fiction]

『ある島の可能性』ミシェル・ウエルベック(河出文庫)
『証言拒否 リンカーン弁護士』(上・下)マイクル・コナリー(SB文庫)
『霜の降りる前に』(上・下)ヘニング・マンケル(創元推理文庫)
『プラハの墓地』ウンベルト・エーコ(東京創元社)
『ウインター家の少女』キャロル・オコンネル (創元推理文庫)
『夏に凍える舟』ヨハン・テオリン(ハヤカワ・ミステリ)
『暗幕のゲルニカ』原田マハ(新潮社)
『過ぎ去りし世界』デニス・ルへイン(ハヤカワ・ミステリ)
『死んだライオン』ミック・ヘロン(ハヤカワ文庫NV)
『その姿の消し方』堀江敏幸(新潮社)
『アックスマンのジャズ』レイ・セレスティン(ハヤカワ・ミステリ)
『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン(早川書房)
『背信の都』(上・下)ジェームズ・エルロイ(文藝春秋)
『ゼロヴィル』スティーヴ・エリクソン(白水社)
『偽りの書簡』R・リーバス&S・ホフマン (創元推理文庫)
『埋葬された夏』キャシー・アンズワース(創元推理文庫)
『剣より強し クリフトン年代記 第5部』(上・下)ジェフリー・アーチャー(新潮文庫)

『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2016 JAN.~JUN.>

 2016年上半期の映画鑑賞歴は、劇場鑑賞が37本、試写が2本の計39本。このペースでは年間100本は無理だろうが、これぐらいが無理のないところだろう。2016年上半期のマイベストは、下記の20本。アカデミー賞作品に、少々違和感を覚えるのがいつものことだけれど、今年の受賞作品(ノミネートも含め)には、珍しいことにほとんど納得した(『レヴェナント』など一部例外はあるけれど)。僕なりの今期のベストオブベストは、『ブリッジ・オブ・スパイ』『ブラック・スキャンダル』『オデッセイ』『マネー・ショート』『ボーダーライン』『スポットライト』『ヘイル、シーザー!』の7作品。

『ブリッジ・オブ・スパイ』(BRIDGE OF SPIES)スティーヴン・スピルバーグ監督
『白鯨との闘い』(IN THE HEART OF THE SEA)ロン・ハワード監督
『ブラック・スキャンダル』(BLACK MASS)スコット・クーパー監督
『ドリームホーム 99%を操る男たち』(99 HOMES)ラミン・バーラニ監督
『オデッセイ』(The Martian)リドリー・スコット監督
『ディーパンの闘い』(DHEEPAN)ジャック・オディアール監督
『ヘイトフル・エイト』(THE HATEFUL EIGHT)クエンティン・タランティーノ監督
『マジカル・ガール』(MAGICAL GIRL)カルロス・ベルムト監督
『砂上の法廷』(THE WHOLE TRUTH)コートニー・ハント監督
『ガルム・ウォーズ』(GARM WARS)押井 守監督
『ルーム』(ROOM)レニー・アブラハムソン監督
『ボーダーライン』(SICARIO)ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
『スポットライト 世紀のスクープ』(SPOTLIGHT)トム・マッカーシー監督
『グランドフィナーレ』(YOUTH)パオロ・ソレンティーノ監督
『ヘイル、シーザー!』(Hail Caesar)ジョエル&イーサン・コーエン監督
『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』(The Eichmann Show)ポール・アンドリュー・ウイリアムズ監督
『マネーモンスター』(Money Monster)ジョディ・フォスター監督
『教授のおかしな妄想殺人(Irrational Man)ウディ・アレン監督
『シークレット・アイズ』(SECRET IN THEIR EYES)ビリー・レイ監督

<2016年 JULY~SEP.

WRITING

 月刊「AIRLINE」10月号のボーイング特集(創立100周年スペシャル特大号 ボーイング最強伝説)で、「BOEING LEGACY」と題してボーイング社のクラシックモデルを解説。Model40、Model80、Model247、Model307 Stratoliner、Model314 Clipper、Model377 Stratocruiserの6機種の特徴と、歴史的な役割について執筆。いずれも、ジェットエアライナー以前のボーイング社の、技術的、ビジネス的な基礎を築いた名機だった。

月刊「AIRLINE」10月号表紙と執筆した「BOEING LEGACY」の一部

COMMENT

 各種メディアで、航空関連の解説、コメントを幾つか行なったが、やはり事件事故が多かった。2016年当初から振り返ると、まず2月に新千歳空港で起こった、日本航空機(ボーイング737)からの発煙による乗客緊急脱出について、北海道文化放送のニュースでコメント。3月には愛媛新聞の、松山空港民間旅客機就航60周年特集で、YS-11墜落事故以降に向上した松山空港の事故対策、安全対策を解説。4月には自衛隊機U-125の墜落事故について、毎日新聞でコメント。8月、テレビ朝日「モーニングショー」で、新千歳空港で起きた、保安検査所での検査を受けないまま乗客が搭乗待合室に入った事件についてコメント。当該乗客確認のため、他の乗客を足止めし運航に遅れが出たのは、保安検査所と航空会社の連携ミス。同じ8月には、羽田空港で起きた乗客の手荷物を未搭載のまま出発した全日空機について、フジテレビ「ユアタイム」でコメント。原因は手荷物の自動仕分けのセンサー故障だったが、航空会社の対応が問題。

EVENT 

<私の羽田アルバム展>

 僕が理事長を務めるNPO羽田航空宇宙科学館推進会議(HASM)では、羽田の地にいつの日か博物館を実現する運動「羽田航空博物館プロジェクト」を推進している。その活動の一環として、羽田空港と人々の想い出の写真を、HASM会員の秘蔵の写真を中心に収集する事業を進めている。その写真の一部を、東京国際空港開港85周年を記念し、写真展「私の羽田アルバム展」として初めて公開した。会期は8月7日~13日、会場は有楽町駅前の東京交通会館シルバーサロンB。写真展と併せて、「齋藤茂太エアラインバッグ・コレクション」の一部も公開した。世界的コレクターとして知られた、齋藤先生のエアラインバッグ・コレクションは、現在遺品としてHASMがお預かりし管理している。

羽田空港『空の日フェスティバル』

 9月24日「空の日」に、羽田空港で開催されたイベント「空の日フェスティバル」に、NPO・HASMとして参加。国内線第1旅客ターミナル2Fのフェスティバルコートで、電動ヒコーキ操縦体験会を実施した。電気で駆動する飛行機を、Uコン機の要領でコントロールし、飛行させるシステム。たくさんの親子連れが列をなして、次々にフライトを体験してくれた。操縦体験をした子供さんには、僕から記念の飛行認定証をプレゼントした。昨年も同会場で開催したが、昨年以上の盛況だった。

『僕の交書録』 <BOOKS MY BEST 2016 JULY~SEP.>

 2016年7月~9月期3か月間の交書録は、購入が18冊、贈呈いただいたのが1冊、再読は無く計19冊。1月からの累計で71冊。今期は読書のペースが急落した。原因は、7、8月に体調を崩したこと(十二指腸潰瘍)と、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの開催。僕の読書時間のメインは深夜の時間帯なのだけれど、8、9月はリオからのテレビ中継の観戦にのめり込んで、読書の時間がほとんど取れなかった。そんな中での今期のマイベストは、以下の7作品11冊。すべてフィクションだった。
 現代アメリカ文学の旗手と称えられるエリクソンには、やっぱり嵌ってしまった。前期『ゼロヴィル』での出会いから、衝撃は続いている。しばらくは旧作を追いかけることになるだろう。ドナ・タートの『ゴールドフィンチ』は、2014年のピューリッツア賞(フィクション部門)受賞作だ。訳者の岡真知子さんの要約を借りると「一人少年の成長譚であり、冒険物語でもあり、絵画をめぐるミステリー的要素が盛り込まれた作品でもある。」全4巻を一気に読んだ。
 その他はいずれもミステリーで、レックバリ、ハート、コナリーは僕のご贔屓作家で、毎回期待を裏切らない。キャンディス・フォックスは、初見参のオーストラリア作家。続作の翻訳が楽しみだ。

[Fiction]

『Xのアーチ』スティーヴ・エリクソン(集英社文庫)
『黒い時計の旅』スティーヴ・エリクソン(白水Uブックス)
『死神遊び』(エリカ&パトリック事件簿)カミラ・レックバリ(集英社文庫)
『邂逅』 キャンディス・フォックス (創元推理文庫)
『終わりなき道』ジョン・ハート(ハヤカワ・ミステリ)
『ゴールドフィンチ』(1~4)ドナ・タート(河出書房新社)
『転落の街』(上・下)マイクル・コナリー (講談社文庫)

『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2016 JULY~SEP.>

 2016年7月~9月期の映画鑑賞歴は、劇場鑑賞が25本、試写が2本の計27本。3か月間にしては多い。読書は不調だったけれど、映画鑑賞は好調。体調を崩していたものの、昼間は映画館へ、夜はテレビでリオのアスリートを応援という夏だった(投薬はまじめに続けたものの、わがままな病気療養!)。1月からの累計で66本になった。今期のマイベストは以下の20本。順番は鑑賞した順。
 今期は、ミュージシャンのドキュメンタリーに秀作が並んだ。エイミー・ワインハウス(第88回アカデミー賞・長編ドキュメンタリー賞受賞)、パコ・デ・ルシア(2015ゴヤ賞・ベストドキュメンタリー賞受賞)、ジェームス・ブラウン(プロデューサー:ミック・ジャガー)、ジャニス・ジョプリン、そしてザ・ビートルズ。いずれも青春時代にリアルタイムで聴いていたので、そのステージ映像には、震えがきたり鳥肌が立ったり! 痺れました。タンゴ史上最高のダンスペア、マリア・ニエベスとファン・カルロス・コペスのドキュメンタリー、『ラスト・タンゴ』も良かった(ヴィム・ヴェンダース製作総指揮)。ドラマのほうでも、音楽映画に印象的な作品があった(もともと僕は音楽やダンスの映画が好きだ)。『シング・ストリート』は、ジョン・カーニー監督の『はじまりのうた』『ONCE ダブリンの街角で』に続く最新作。『ストリート・オーケストラ』は、サンパウロのスラム街に生まれた交響楽団の実話(サンパウロ映画祭観客賞受賞)。

 ドラマ部門では、ツール・ド・フランスで7連覇を達成したランス・アームストロングの薬物スキャンダル『疑惑のチャンピオン』、ハリウッドの伝説的脚本家ダルトン・トランボを描いた『トランボ』、CBSニュースのジャーナリストたちの栄光と挫折を描いた『ニュースの真相』、伝説的黒人アスリート、ジェシー・オーエンスを描いた『栄光のランナー』、チェルシー・フラワーショーを舞台にした『フラワーショウ!』、そしてイーストウッド監督の、全エンジン停止のエアバス機をハドソン川に不時着水させて、155人の乗員乗客を救った機長の物語『ハドソン川の奇跡』、秀作はいずれも実話に基づく作品だった。
 フィクションでは、『リトル・ボーイ』、『エクス・マキナ』、『アスファルト』、『スーサイド・スクワッド』が★★★。『リトル・ボーイ』は、第2次大戦下のカリフォルニアの小さな漁村が舞台で、アメリカ人の少年と日系人の老人との友情を通して戦争や人生を考えさせられる。フランスのとある郊外のおんぼろ団地で、不器用な男女に起こる突然のそして奇跡の出逢いの物語が、ほのぼのとして良い『アスファルト』。『スーサイド・スクワッド』は、アメコミの悪党たちが正義のヒーロー役を託されるエンターテインメントの快作。でも僕のベスト・オブ・ベストは、第88回アカデミー賞・視覚効果賞受賞の『エクス・マキナ』。脚本賞にもノミネートされたのがうなずける、人間と人工知能(ロボット)の心理戦というSFスリラーだった。VFX映像もストーリー展開もスタイリッシュだ。アシモフのロボット3原則が、崩壊する世界!
 日本映画では、『シン・ゴジラ』が日本のCG技術の実力を見せつけて圧巻。また4Kデジタル・リマスター版完成披露試写で観た『七人の侍』では、修復技術の素晴らしさに衝撃を受けた。10数年ぶりで観た『七人の侍』は、やはり黒澤明監督の最高傑作であり、映画として完璧な作品であることを再認識させられた。

『疑惑のチャンピオン』 (THE PROGRAM)ビリー・レイ監督
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(TRUMBO) ジェイ・ローチ監督
『シング・ストリート 未来へのうた』(Sing Street)ジョン・カーニー監督
『AMY エイミー』(AMY)アシフ・カパディア監督
『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』(PACO DE LUCIA A JOURNEY)クーロ・サンチェス監督
『ラスト・タンゴ』 (Un tango más)ヘルマン・クラル監督
『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』(MR.DYNAMITE The Rise of James Brown) アレックス・ギブニー監督
『シン・ゴジラ』(SHIN GODZILLA) 庵野英明・樋口正嗣・尾上克郎監督
『ニュースの真相』(TRUTH)ジェームズ・ヴァンダービルト監督
『ストリート・オーケストラ』(Tudo Que Aprendemos Juntos)セルジオ・マシャード監督
『栄光のランナー 1936ベルリン』(RACE)スティーブン・ホプキンス監督
『フラワーショウ!』 (DARE TO BE WILD)ヴィヴィアン・デ・コルシィ監督
『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』 (LITTLE BOY)アレハンドロ・モンテヴェルデ監督
『アスファルト』(Asphalte) サミュエル・ベンシェトリ監督
『エクス・マキナ』 (EX_MACHINA)アレックス・ガーランド監督
『スーサイド・スクワッド』(SUICIDE SQUAD)デヴィッド・エアー監督
『七人の侍』黒澤明監督
『ハドソン川の奇跡』(SULLY)クリント・イーストウッド監督
『ジャニス リトル・ガール・ブルー』(JANIS LITTLE GIRL BLUE)エイミー・バーグ監督
『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』(THE BEATLES:EIGHT DAYS A WEEK, The Touring Years)ロン・ハワード監督

<2016年 OCT.~DEC.>

WRITING 

 この期の執筆のハイライトは、12月に執筆した『旅客機キャビンの100年史』。月刊「AIRLINE」(2017年2月号)の特集『機内空間の探求 キャビン&シート』の一部として掲載された。原稿の仮タイトルは『独断的キャビン文化史』だったが、編集部でこのタイトルに改題、写真をふんだんに使って、楽しいページに編集してくれた。感謝。

月刊「AIRLINE」2017年2月号表紙と執筆した『旅客機キャビンの100年史』全4ページの一部

LECTURE

 昨年に続いて高知県から講演のお招きがあった。昨年は須崎市、今年は12月20日に高知市で講演会。演題は『地球温暖化と私たちの暮らし』。衛星画像などをたくさん使ったパワーポイントを使用し、「今そこにある危機」としての地球温暖化=気候変動について講演。講演終了後は、高知県経営者協会青年経営者部会の忘年懇親会にもお招きいただき、若手経営者の皆さんと銘酒「酔鯨」大吟醸を鯨飲。高知の夜も楽しんだ。
 講演の翌朝は、高知城と市内を散策。昨年は須崎から空港へ直行したので、高知城を訪れることができなかった。高知城の天守はやはり美しい。「リョーマの休日」に続く、最近の高知県の観光キャッチフレーズは、「高知家」だ。『高知県は、ひとつの大家族やき。』とのこと。高知龍馬空港では龍馬に加えて、2016ゆるキャラグランプリで1位になりブレークした、須崎市のキャラクター「しんじょう君」もお出迎え。「しんじょう君」は二ホンカワウソのゆるキャラ。二ホンカワウソが最後に目撃された、須崎市新荘川に因んでいる。絶滅したとされる二ホンカワウソの仲間を探して、日本全国を旅しているとか。須崎名物の鍋焼きラーメンの帽子をかぶっている。

COVERAGE & EVENT

国際航空宇宙展AEROSPACE JAPAN 2016

 10月12日~14日、「2016年国際航空宇宙展」(JAPAN INTERNATIONAL AEROSPACE EXHIBITION 2016)が東京ビッグサイトで開催された。過去最大規模(出展社数792社)での開催となった。空港ではなくコンベンションホールでの開催なので、実機や実物大モックアップの展示は数機にとどまったが、ボーイング、エアバス、ロッキード・マーチンなど海外の有力メーカー、関連企業の出展も多く、わが国最大の航空宇宙関連展示会となった。ボーイング社は787ドリームライナー、空中給油・輸送機KC-46(航空自衛隊が導入)のシミュレータを、エアバス社は新キャビンコンセプトを体験できる、バーチャルリアリティ・コーナーなどを設置し、注目された。屋外に展示されたロッキード・マーチンのF-35(航空自衛隊採用戦闘機)の、実物大モックアップも見学の列ができていた。国内勢では、MRJの客席モックアップを展示した三菱重工のブースが人気を集めた。

 「国際航空宇宙展」には、僕が理事長を務めているNPO法人「羽田航空宇宙博物館推進会議」(HASM)も出展した。羽田に博物館を実現しようという、僕たちの活動「羽田航空博物館プロジェクト」をアピールするための出展だ。展示の中心は、HASMがお預かりしている故・齋藤茂太先生の「エアラインバッグ・コレクション」と、夏に写真展でも展示した「私の羽田アルバム」。エアラインバッグは、齋藤先生の世界的なコレクションの中からピックアップした、約30個を展示した。特に注目を集めたのは、1964年東京オリンピック記念の日本航空のバッグだった。展示ブースは、ヘリコプター歴史保存協会との共同出展。南極観測で活躍したベル47Gの実機展示と共に、齋藤先生のエアラインバッグ・コレクションを、たくさんの来場者に観ていただくことができた。

セントレア Flight of Dreams プロジェクト

 中部国際空港(セントレア)は、ボーイング社から寄贈されたボーイング787初号機(ZA001)の屋内展示を中心とした複合商業施設を、ターミナルビルに隣接して建設する構想を公表していたが、11月9日にその概要発表の記者会見が開かれた。「Flight of Dreams」と名付けられるこの施設は、地上3階、建築面積約5,000平方メートル。787初号機の展示を中心に、飲食や物販の商業エリアを展開する。787展示エリアには、飛ぶ仕組み、旅客機の組立て、エンジンなど部品製造などの見学コーナー、ボーイング社の最終組立工場のバーチャル体験ゾーンなども設けるという。787の展示は、フードコートエリアから、飲食をしながら眺めることができる。2017年度下期に供用開始予定だ。完成すれば、世界初のユニークな航空関連施設になる。

『僕の交書録』 <BOOKS MY BEST 2016 OCT.~DEC.>

 10月~12月期3か月間の読書歴は、購入が25冊、贈呈いただいたのが1冊、再読が3冊の計29冊。体調を崩して読書もままならなかった前期の低迷から、何とか脱出。2016年の合計交書録は、購入86冊、贈呈7冊、再読7冊で、計100冊に到達した。今期のMY BESTは、以下の14作品18冊(順番は読んだ順)。
 ノンフィクション部門。佐藤彰一先生の『贖罪のヨーロッパ』は、以前から関心を持っていた修道院での筆写写本の制作について知りたくて読んだもの。『禁欲のヨーロッパ』に続いて、西洋中世の修道院の歴史を学ばせていただいた。『応仁の乱』は、今年静かな話題となった呉座勇一先生の著作。応仁の乱について考えたのは、高校生の時以来だった。
 文学では、まず2月に亡くなったエーコの遺作『ヌメロ・ゼロ』。舞台は現代の出版界だが、3月に出た『プラハの墓地』と同様に、エーコの博覧強記が横溢。1999年出版の『前日島』も再読して、稀代の学者・作家を偲んだ。続いて現代米文学の旗手エリクソン。今年はすっかりエリクソンに嵌ってしまい、『ルビコン・ビーチ』で4冊目だ。アーチャーの「クリフトン年代記」は『機は熟せり』が第6部。まだまだ続く。それにしても英国大河小説では、アーチャーでもケン・フォレットでも敵役が執念深い。『デトロイト美術館の奇跡』は、原田マハさんらしい、美術に心洗われる佳品。なお今年前期(1月~6月)でMY BESTに挙げた仏文学者堀江敏幸さんの『その姿の消し方』が、第69回野間文芸賞を受賞した。エンタメ系では今期もヨーロッパのミステリに秀作が多かった。ルメートルは『傷だらけのカミーユ』で3部作が全部翻訳された。『熊と踊れ』と『満潮』はスウェーデン・ミステリで、圧倒された。北欧勢は快調だ。ロボサムはオーストラリア、映画化もされた『ガール・オン・ザ・トレイン』のホーキンズは英国の作家。久々のパレツキーは良かったし、初見参のカークはユニークだったけれど、米国勢が今期は少し不調(今年前期は快調だった)。年末には恒例のパトリシア・コーンウェルの『邪悪』が出た。検屍官スカーペッタ・シリーズはこれが23作目。帯では「シリーズ最高潮」と謳っているけれど、初期の作品ほうが僕は好きだ。という次第でランクインはしなかった。
 全100冊の2016年の読書歴からマイ・ベスト・ファイブを選ぶと、『ある島の可能性』(ミシェル・ウエルベック)、『プラハの墓地』(ウンベルト・エーコ)、『書店主フィクリーのものがたり』(ガブリエル・ゼヴィン)、『ゼロヴィル』(スティーヴ・エリクソン)、『熊と踊れ』(アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ)ということになる。

[Non Fiction]

『贖罪のヨーロッパ 中世修道院の祈りと書物』佐藤彰一 (中公新書)
『応仁の乱  戦国時代を生んだ大乱』呉座勇一(中公新書)

[Fiction]

『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ(河出書房新社)
『デトロイト美術館の奇跡』原田マハ(新潮社)
『生か死か』マイケル・ロボサム(ハヤカワ・ミステリ)
『傷だらけのカミーユ』ピエール・ルメートル(文春文庫)
『熊と踊れ』 (上・下)アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ(ハヤカワ・ミステリ文庫)
『満潮』(上・下)シッラ&ロルフ・ボリリンド(創元推理文庫)
『きみを夢みて』スティーヴ・エリクソン(ちくま文庫)
『ルビコン・ビーチ』スティーヴ・エリクソン(ちくま文庫)
『ガール・オン・ザ・トレイン』(上・下)ポーラ・ホーキンズ (講談社文庫)
『メソッド15/33』シャノン・カーク(ハヤカワ文庫NV)
『カウンター・ポイント』サラ・パレツキー (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『機は熟せり クリフトン年代記 第6部』(上・下)ジェフリー・アーチャー (新潮文庫)

僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2016 OCT.~DEC.>

 10月~12月期の映画鑑賞歴は、劇場鑑賞24本、試写はなしで、2016年の合計は91本となった。2014年の年間111本はもう再現不可能だろうけれど、今年は本数も内容も充実した映画歴だと思う。マイ・ベストは以下の12本(順番は鑑賞順)。前の7月~9月期がピークだった音楽系の映画は、今期も『シーモアさんと、大人のための人生案内』『ブルーに生まれついて』(チェット・ベイカーの物語)『マイルス・デイヴィス 空白の5年間』と佳品が続き、充実した年を締めくくった(特にシーモア・バーンスタインのドキュメンタリーが良かった)。なお7月~9月期に挙げたジョン・カーニー監督の『シング・ストリート 未来へのうた』は、第74回ゴールデン・グローブ賞にノミネートされ嬉しかった(結果は『ラ・ラ・ランド』が受賞)。
 ドラマ部門では、『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(夭逝した天才作家トマス・ウルフと編集者マックス・パーキンズの物語)、『グッバイ、サマー』(14歳の夏休みの冒険と友情、ゴンドリー監督の自伝的青春物語)、『彷徨える河』(コロンビアの俊英シーロ・ゲーラ監督が、モノクロームの映像で神話的な世界観をアマゾンの密林に描く)が、今期のマイ・ベスト・スリーだ。デジタル・リマスター版で観た『男と女』は、やはり名作。この作品に出会ったのは半世紀前の学生時代のこと。フランシス・レイの「♪ダバダバダ♪」は、当時僕たちの共通言語(?)だった。青春の想い出の一作ということもあり、9月に観た新作『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』よりも、ルルーシュはやはり『男と女』だと感じた。併映された『ランデヴー』も凄かった!ワン・テイク8分48秒、日本初公開の幻のドキュメンタリー(1976年公開)。フェラーリ275GTBが時速200キロで、ブローニュの森から凱旋門、コンコルド広場、オペラ座、ピガール広場などを巡って、モンマルトルのサクレ・クール寺院まで、夜明けのパリを疾走する、信じられないほどの迫力の映像だった。ハンドルを握るのは、監督のルルーシュ自身だ。よくこんな映画が撮れたものだ!
 ファンにはたまらない『スター・トレック』『スター・ウォーズ』『バイオハザード』の各シリーズが公開されたのも、今期の朗報。特に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は秀逸。スター・ウォーズ・シリーズで唯一、「泣ける」作品だろう。犠牲をいとわない名もなき戦士たちの戦い、これも日本映画のサムライの影響だろうか? スター・ウォーズ・シリーズは奥が深い。年末にレイア姫のキャリー・フィッシャーの訃報が届いた(続いて母親のデビー・レイノルズの訃報も)。2017年公開予定の第8作にも出演しているが、すでに撮影済みとのこと。合掌。
 たくさんの秀作、佳作に出会えた2016年に乾杯! 特に音楽系のドキュメンタリーとドラマに感動した年だったが、2016年のマイ・ベスト・オブ・ベストは、『エクス・マキナ』(アレックス・ガーランド監督、第88回アカデミー賞視覚効果賞受賞、脚本賞ノミネート)だ。

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(GENIUS)マイケル・グランデージ監督
『グッバイ、サマー』(Microbe et Gasoil)ミシェル・ゴンドリー監督
『手紙は憶えている』(Remember)アトム・エゴヤン監督
『シーモアさんと、大人のための人生入門』(SEYMOUR AN INTRODUCTION)イーサン・ホーク監督
『奇蹟がくれた数式』(The men Who Knew Infinity)マシュー・ブラウン監督
『男と女』(デジタル・リマスター版) (Un home et une femme)クロード・ルルーシュ監督
『ブルーに生まれついて』(BORN TO BE BLUE)ロバート・バドロー監督
『シークレット・オブ・モンスター』(THE SECRET OF A MONSTER)ブラディ・コーベット監督
『彷徨える河』(El abrazo de la serpiente)シーロ・ゲーラ監督
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(Rogue One: A Star Wars Story)ギャレス・エドワーズ監督
『五日物語~3つの王国と3人の女~』(Tale of Tales)マッテオ・ガローネ監督
『マイルス・デイヴィス 空白の5年間』(MILES AHEAD)ドン・チードル監督

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