中村 浩美 Hiromi Nakamura

<2021年 JAN.~JUL.>

EDITING

  世界的に活躍する航空写真家・徳永克彦さんの写真集『PHOREVER』(ホビージャパン・刊、6,400円)の編集を担当した。半世紀にわたって日本の空の守りを担い、今年3月に退役した、航空自衛隊のマクダネル・ダグラス(ボーイング)F-4ファントムⅡに捧げた惜別の写真集だ。『PHOREVER』は、ファントム(PHANTOM)よ、永遠に(FOREVER)の想いを込めたタイトルである。空撮を中心とした、徳永さんの華麗でダイナミックなファントムの姿が満載の豪華写真集だ。徳永さんの写真に加えて、解説は元米海兵隊のファントム・ライダーであるリチャード・パロウスキ―氏。さらに元航空自衛隊・第306飛行隊長の戸田眞一郎さん(TACネーム“タイガー”)にも、寄稿いただいた。本格的に編集者として出版に携わったのは、実に30数年ぶりだったし、本文が英語と日本語の併記だったため、日米でメールのやり取りをしながらの編集作業はなかなか大変だった。1月末の打合せに始まり、2月、3月は編集作業、4月初めに校了し、予定通りに4月30日に発売することができた。コロナ禍で欝々とする中、多忙でストレスフルではあったけれど、全集中の充実した日々だった。

WRITING

 僕が理事長を務めているNPO/・HASM(羽田航空宇宙科学館推進会議)の機関紙「羽田の青い空」が、9月発行号で100号を迎えた。HASM発足以来33年間の歩みを物語る、機関紙の100号達成だ。僕は99号の投稿写真コラムに、初めて音速突破飛行をしたチャック・イエガ―の追悼文「Mourning : Chuck Yeager」を、100号には僕が1979年に初めて搭乗したDC-3について綴った「初めてのDC-3の来歴と行方」を執筆した。

LECTURE

 名古屋空港に隣接した「あいち航空ミュージアム」で開催された、徳永克彦さんの『BREITLING DC3 World Tour』写真展の関連ベントとして、7月10日、11日の両日「スペシャルトークショー」が開催された。僕は10日に『DC-3って、どんな飛行機? 世界を変えた伝説の輸送機』と題して講演し、11日にはブライトリングDC-3のJapan Tourでご一緒した、ブライトリング・ファミリーの皆さんとトークショーに登壇した。トークショーのメンバーは、World Tourのオフィシャル・カメラマンで世界的な航空写真家の徳永克彦さん、World Tourのクルーとしても活躍したライターの志太みちるさん、ブライトリングのPRを担当した島津暁子さん、そしてJapan Tourでレクチャラ―を務めた僕の4人。BREITLING DC-3 World Tour/Japan Tourが実施されたのは2017年のこと。久しぶりに顔をそろえた4人で、懐かしく楽しく、あのBig Eventを振り返った。

EVENT

 理事長を務めているNPO・HASM(羽田航空宇宙科学館推進会議)の、羽田航空博物館プロジェクトのひとつ写真展「私の羽田アルバム展」は、今回が6回目。7月18日~24日に、有楽町・交通会館で開催。
「羽田空港開港90年」をテーマに、90年の歴史を伝える飛行機、空港施設、そして空の旅人の、懐かしい写真の数々を展示。往時を偲ばせる貴重な史料や、斎藤茂太コレクションのエアラインバッグも公開。

『僕の交書録』 <BOOKS MY BEST 2021 JAN.~JUL.>

 2021年1月~7月期の読書は、ノンフィクションは『ノートルダム フランスの魂』の1冊のみ。
ノートルダム・ド・パリの歴史だ。ノートルダム大聖堂は、ずっとパリ市民の、フランス人の心の拠り所だったのだ。フィクションは海外ミステリのオンパレードで、北欧系の作家の佳品が目立った。スウェ―デンのレイフ・ペーション、アンデシュ・ルースルンド、カミラ・レックバリ、アルネ・ダール、ノルウエーのヨルン・ホルスト、アイスランドのラグナル・ヨナソン、いずれも僕のお気に入り作家の仲間入りだ。米欧のお気に入り作家、J.D.ロブ、カリン・スローター、マイクル・コナリー、ピエール・ルメートル、サラ・パレツキーも勿論期待を裏切らない。日本の作家では、やはり原田マハさん。ファン・ゴッホの死と、その死をもたらした拳銃をめぐるミステリ仕立ての物語。写真集の編集の仕事で、1月末から4月初めまでは多忙だったけれど、その後はコロナ禍による外出自粛もあって、読書三昧で退屈な時間をうっちゃる日々が多かった。今期の購入は56冊、再読が7冊、贈呈いただいたのが2冊という内訳だった。中でも特に読書の楽しみを満喫させてくれたのは、以下の22冊。

<NON FICTION>

『ノートルダム フランスの魂』(白水社)(集英社新書)

 <FICTION>

『平凡すぎる犠牲者』レイフ・GW・ペーション (創元推理文庫)
『三時間の導線』アンデシュ・ルースルンド(ハヤカワ・ミステリ文庫)
『黄金の檻』カミラ・レックバリ(ハヤカワ文庫NV)
『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査班』アルネ・ダール(集英社文庫)
『鍵穴 警部ヴィスティング』ヨルン・リーエル・ホルスト(小学館文庫)
『閉じ込められた女』ラグナル・ヨナソン(小学館文庫)
『死を運ぶ黄金のタマゴ』〈イヴ&ローク51〉J.D.ロブ (ヴィレッジ・ブックス)
『スクリーム』カリン・スローター(ハーパーBOOKS)
『鬼火』(上・下)マイクル・コナリー(講談社文庫)
『われらが痛みの鏡』ピエール・ルメートル (ハヤカワ・ミステリ文庫)
『フォールアウト』サラ・パレツキー(ハヤカワ・ミステリ文庫)
『ラスト・トライアル』ロバート・ベイリー(小学館文庫)
『刑事失格』ジョン・マクマホン(ハヤカワ・ミステリ文庫)
『危険な男』ロバート・クレイス(創元推理文庫)
『咆哮』アンドレアス・フェーア(小学館文庫)
『警視の謀略』デボラ・クロンビー(講談社文庫)
『老いた殺し屋の祈り』マルコ・マルターニ (ハーパーBOOKS)
『続・用心棒』デイヴィッド・ゴードン(ハヤカワ・ミステリ)
『 夜 』ベルナール・ミニエ(ハーパーBOOKS)
『帰らざる故郷』ジョン・ハート(ハヤカワ・ミステリ)
『リボルバー』原田マハ(幻冬舎)

『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2021 JAN.~JUL.>

 コロナ禍の影響で、新作映画の公開が延期になるし、映画館の休館もあって、2021年1月~7月期の映画鑑賞は極めて低調(さらには地方暮らしというハンデもある)。鑑賞はわずかに20本。しかも半数はVODだった。テレビ放映はカウントしないが、VODをカウントに含めなければ、鑑賞リストの作成は不可能だった。印象に残ったのは以下の作品。

『浅田家』中野量太監督
『スタントウーマン(ハリウッドの知られざるヒーローたち』(Stuntwomen :The Untold Hollywood Story)エイプリル・ライト監督
『21ブリッジ』(21 Bridges)ブライアン・カーク監督
『ノマドランド』(NOMADLAND)クロエ・ジャオ 監督
『ネクスト・ドリーム』(Next Dream) (THE HIGH NOTE)ニーシャ・カナトラ監督
『ガーンジー島の読書会の秘密』(The GUERNSEY Literary & Potato Peel Pie Society)マイク・ニューウェル監督
『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』(ONCE WE’RE BROTHERS ROBBIE ROBERTSON And THE BAND)ダニエル・ㇿアー監督
『パブリック 図書館の奇跡』(THE PUBLIC)エミリオ・エステベス監督
『Mr. ノーバディ』(NOBODY)イリヤ・ナイシュラー監督
『ブラック・ウイドウ』(Black Widow)ケイト・ショートランド監督
『ゴジラ VS コング』(GODZILLA VS KONG)アダム・ウインガード監督

<2021年 AUG.~DEC.>

LECTURE

日本の飛行機づくりと富士T-1初鷹(あいち航空ミュージアム)トークショー

「あいち航空ミュージアム」(県立名古屋空港内)の開館4周年特別企画展『日本の飛行機づくりと富士T-1初鷹』(2021年11月27日~2022年3月14日)の、オープニング・イベント(11月27日)トークショーに登壇した。鈴木真二館長との対談で、日本の飛行機づくりの歴史を語ったもの。浮田幸吉の滑空機に始まり、航研機、零戦や隼、YS-11、そして現代のMRJ(スペースジェット)、HONDA JETまで、個人的な回想や、独断的な飛行機評など、自由に語らせていただいた。会場には、中京地区の知人や古い友人たちも駆けつけてくれ、楽しい時間を過ごすことができた。この企画展では、リタイ屋の梅さんのイラストによる、「日本の飛行機づくり」と、「富士T-1初鷹」のパネル展示もあり、T-1初鷹の実機(866号機)も特別展示されている。
「あいち航空ミュージアム」でのイベント参加は、4月の徳永克彦さんの写真集『PHOREVER』出版記念のファントム・イベント、7月のDC-3イベント(BREITLING DC-3 WORLD&JAPAN TOUR)での、講演とトークショーに続いて、今年3回目。すっかりご縁ができた。(写真提供:高巣弘臣氏、あいち航空ミュージアム)

リモート講演会:山口県周南市

 10月7日、山口県周南市のシビック交流センターで講演会(時事通信社・内外情勢調査会)。とは言っても、対面ではなくZOOMでの講演だった。僕は銀座の時事通信社から、リモートで周南市の会場に語り掛ける形式。リモートでの講演は、モニターに会場が映っているとはいえ、相手側の具体的な反応が分からないので、なかなか難しいと実感した。講演の演題は、周南市のご希望で『身近な問題としてのエネルギー、環境問題』。

『いたばし未来の発明王コンテスト』ブラッシュアップ研修

 東京都板橋区は「いたばし未来の発明王コンテスト」を実施している。今年で2回目のコンテストだ。ものづくりに力を入れている板橋区が、区在住の小中学生から発明アイディアを募る企画で、「集まれ!いたばしの発明王! キミのアイディアが板橋区のものづくり企業でかたちになるかも」と、呼びかけている。一時審査を通過した応募者に対して、ブラッシュアップ研修会が2日間にわたって開催された(11月13日、14日、板橋区立文化会館、仲宿地域センター)。最終審査の発表に向けてアイディアをブラッシュアップし、プレゼンテーションの準備をする研修会で、去年に続いて講師を務めた。ブラッシュアップのポイントと、発表に当たって注意することなどを講義したもの。またアシスタントを務めてくれた男女の東大生の諸君と共に、応募作品に関する相談や、改良点のアドバイスなども行なった。小中学生のユニークで、希望に満ちたアイディアに刺激をもらった2日間でもあった。

EVENT

羽田航空博物館展 in HI City

 理事長を務めているNPO・HASM(羽田航空宇宙科学館推進会議)では、写真展『私の羽田アルバム展』(東京交通会館)を6回にわたって、また『羽田航空博物館展』(羽田図書館)を4回、開催してきた。そして今年初めて、この二つのイベントを融合させて、羽田イノベーションシティで、『羽田航空博物館展 in HI City:羽田空港開港90年』を開催した(10月10日~16日)。会場は、HI Cityのカフェ「Square Café / bar」という新機軸。ギャラリーや展示場以外で開催するのは、勿論初めての試みだった。開港90年を振り返る『私の羽田アルバム展』の写真パネルに加えて、斎藤茂太コレクションのエアラインバッグ、旅客機モデル、航空グッズ、さらに羽田の歴史を物語る映像も展示した。会期中には、松原大田区長も視察に訪れてくれ、解説役を務めた。

河口湖飛行舘(ZERO MUSEUM)

  毎年8月に1か月間だけオープンする「河口湖飛行舘」。今年は開館20周年で、併設する「河口湖自動車博物館」は開館40周年だ。昨年はコロナ禍のため休館したが、今年は予定通り公開された。公開前日の7月31日、原田信雄館長から内覧会にお招きいただいた。今年初公開の目玉は、復元された中島1式戦闘機「隼」2型、復元前の艦上偵察機・中島「彩雲」、1919年製のブガッティの航空機用エンジンU-16(自動車博物館に展示)。
「隼」2型は、すでに復元されていた1型とペアでの展示だ。1型が空中展示で、2型が地上展示という組合せ。印象的な展示になっている。「彩雲」は、世界に2機しか現存しない貴重な機体。NASM(米国立航空宇宙博物館)に保存されている1機と、復元前のオリジナル状態のこの機体だけだ。追撃するF6Fヘルキャットを振り切り『我ニ追イツク敵機無シ』の電文で知られる、アメリカ軍も驚嘆した高速機だ。時速700キロ近くも出たという。原田館長は、「彩雲」の胴体の残骸(失礼!胴体のかなりの部分が形を留めている)と、中島「誉」エンジンを前に、復元計画について、熱く語ってくれた。できれば2年ほどで復元したいという!「ZERO MUSEUM」の別称の通り、「零戦」52型と21型の復元完成機とスケルトンの1機の展示、復元中の1式陸攻の展示などは従来通りだった。この内覧会に続いて8月20日には、HASMのメンバーと共に、「河口湖飛行舘」を再訪した。

佐竹政夫航空絵画展

 航空イラストレーター、佐竹政夫さんの絵画展へ(東京交通会館、10月6日)。会場に入ると佐竹さんが「中村さん、ぜひこれを見てください」と、ある作品の前に案内された。DC-3のイラストだ。しかも描かれているのは、僕が1979年に初めて搭乗した、ネヴァダ航空のDC-3だった。その想い出を、僕はHASMの会報「羽田の青い空」100号に書いた。そのコラムを、佐竹さんは読んでくれていたのだ。「まさにこの機体ですよね」と佐竹さん。ラスヴェガスのマッカラン空港から、グランドキャニオン空港まで乗ったのが、まさにこの塗装のDC-3だったのだ。佐竹さんのおかげで、楽しい想い出が甦った。

WRITING

聖地巡礼 ライト兄弟初飛行の地

 HASMの会報101号に、ライト兄弟初飛行の地、ノースカロライナ州キティホーク郊外キルデビルヒル訪問のフォト・コラムを執筆。
 初飛行の地は、広大な「国立ライト兄弟記念公園」として整備されている。キルデビルヒルの頂上には、巨大な記念碑が建てられ、その足元には兄弟のブロンズ胸像が飾られていた。1903年12月17日の4回の飛行の着陸地点を示す石柱の列、離陸用レールの遺構、復元された兄弟のキャンプ小屋、機体ハンガーなども興味深かった。

『僕の交書録』 <BOOKS MY BEST 2021 AUG.~DEC.>

 2021年8月~12月4か月間の読書は、購入が45冊、再読が2冊。年間の購入は計101冊だった。すべてが海外ミステリーで、Stay Homeの無聊を慰めてくれた。北欧ミステリーのマイブームは継続中。ヨナソン(アイスランド)、スヴァイストロプ(デンマーク)、ビョルク(ノルウェー)、ケプレル(スウェーデン)と、北欧各国の作家勢ぞろい。トリュックはフランスの作家だけれどストックホルム在住で、『影のない四十日間』は、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンにまたがるトナカイ警察(!)の物語だから、北欧グループに入れて良いだろう。
 英国勢も好調で、ノックス、フィーニ―、グリフィス、タイス、クレイヴン、マッキンティと、新旧作家の佳作が目白押し。ミュッソ(仏)、ノイハウス(独)も加わって欧州勢は快調だ。アメリカ作家は、お気に入りのJ・D・ロブ、コナリーは常に期待を裏切らないし、クイン(デビュー作『戦場のアリス』は衝撃)も良かった。最も印象的だったのが、動物学者でもあるディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くところ』。スリリングな展開のミステリーであると共に、ノースカロライナの湿地で生まれ育った無学文盲の少女が、作家・自然学者に成長するまでの物語でもある。今期出会った中で一番の秀作だろう。初見参の作家は事前にリサーチするし、ほとんどがお気に入りの鉄板作家の作品の購入だから、外れはほとんど無い。それでも特に気に入ったのが、以下の22作26冊。

<FICTION>

『闇という名の娘』ラグナル・ヨナソン(小学館文庫)
『狩られる者たち』アルネ・ダール(小学館文庫)
『チェスナットマン』セーアン・スヴァイストロプ(ハーパーBOOKS)
『笑う死体 マンチェスター市警エイダン・ウェイツ』ジョセフ・ノックス(新潮文庫)
『スリープウォーカー マンチェスター市警エイダン・ウェイツ』ジョセフ・ノックス(新潮文庫)
『夜と少女』ギョーム・ミュッソ (集英社文庫)
『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ(早川書房)
『彼と彼女の衝撃の瞬間』アリス・フィーニー(創元推理文庫)
『ときどき私は嘘をつく』アリス・フィーニー
『見知らぬ人』エリー・グリフィス(創元推理文庫)
『紅いオレンジ』ハリエット・タイス(ハヤカワ・ミステリ文庫)
『オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン』サムエル・ビョルク(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『オスロ警察殺人捜査課特別班 フクロウの囁き』サムエル・ビョルク(ディスカヴァー文庫)
『闇より来たる使者 イヴ&ローク 52』J・D・ロブ(ヴィレッジブックス)
『ブラックサマーの殺人』M・W・クレイヴン(ハヤカワ・ミステリ文庫)
『母の日に死んだ』ネレ・ノイハウス(創元推理文庫)
『砂男』 (上・下)ラーシュ・ケプレル(扶桑社ミステリー)
『ウサギ狩り人』(上・下)ラーシュ・ケプレル(扶桑社ミステリー)
『影のない四十日間』(上・下)オリヴィエ・トリュック(創元推理文庫)
『亡国のハントレス』ケイト・クイン(ハーパーBOOKS)
『警告』マイクル・コナリー(講談社文庫)
『レイン・ドッグス』エイドリアン・マッキンティ(ハヤカワ・ミステリ文庫)

『僕のシネマテーク』 <CINEMAS MY BEST 2021 AUG.~DEC.>

 映画鑑賞は、不調が続いている。コロナ禍の影響が大きいが、地方暮らしのハンデ、比較的多忙だった(ありがたいことに)ことも原因だ。8月~12月期の映画鑑賞は、わずかに13本、しかもそのうち4本はVODの鑑賞だった(通常のテレビ放映映画は除く)。それでも秀作・佳作に出会えたのは嬉しかった。特に『イン・ザ・ハイツ』、『サマー・オブ・ソウル』、『アメイジング・グレイス』の3本は、永遠に記憶に残るだろう。
 『イン・ザ・ハイツ』は、ニューヨークの片隅、ドミニカ、プエルトリコ、メキシコ、キューバなど出身の人々が暮らすワシントン・ハイツが舞台。歌と踊りに溢れたこの街で暮らす若者たちの物語。ブロードウェー・ミュージカルの映画化だ。ラティーノ・パワー炸裂の、ダンスシーンが圧巻!『サマー・オブ・ソウル』は、1969年夏にニューヨーク・ハーレムで開催された、ブラックミュージックの祭典「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」のドキュメンタリー。若き日のブラックミュージックのスター勢揃いの革命的音楽フェスだったが、映像記録は50年間も封印され埋もれていたのだという。音楽ファン必見の、豪華なドキュメントだ。時代の空気感が、追憶と共に甦った。『アメイジング・グレイス』は、ソウルの女王:アレサ・フランクリンが、1972年にLAのバプティスト協会で行なったライブのドキュメンタリー。アレサの凄さが伝わる、最高のゴスペル・ライブだ。音と映像がシンクロしない技術的トラブルのため、未完に終わっていたものが、現代のデジタル技術で蘇ったもの。

『イン・ザ・ハイツ』(IN THE HEIGHTS)ジョン・M・チュウ監督
『サンセット・ストリップ~ロックンロールの生誕地』(SUNSET STRIP)ハンス・フェルスタッド監督
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(The Suicide Squad)ジェームズ・ガン監督
『サマー・オブ・ソウル あるいは革命がテレビ放映されなかった時』(SUMMER OF SOUL…OR, WHEN THE REVOLUTION COULD NOT BE TELEVISED)アミール“クエストラブ”トンプソン監督
『レンブラントは誰の手に』(MY REMBRANDT)ウケ・ホーヘンダイク監督
『MISS ミス・フランスになりたい』(MISS)ルーベン・アウヴェス監督
『アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン』(AMAZING GRACE)シドニー・ポラック撮影
『クーリエ:最高機密の運び屋』(THE COURIER)ドミニク・クック監督
『天国にちがいない』(IT MUST BE HEAVEN)エリア・スレイマン監督
『燃えよ剣』(BARAGAKI UNBROKEN SAMURAI) 原田眞人監督
『ラストナイト・イン・ソーホー』(LAST NIGHT IN SOHO)エドガー・ライト監督

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